ヤンデレ部下に御用心 (Page 5)
「伊崎さんの視線、僕が気づいてないとでも思いましたか?…これ以上、僕を煽らないでくださいよ」
椎名が下着から膨張したペニスを取り出した。
初めてみる椎名のペニスは、その美しい顔に似合わない凶器のような男根だった。
大きな鎌首をもたげる亀頭、竿に巻き付くように浮き出た血管。
ドクドクと脈打ちながら腹につきそうなほどイキり勃っている。
伊崎は思わず生唾を飲んだ。
「おい、椎名…これ外せ」
「…え?」
「いいから外せ!」
伊崎の剣幕に臆したのか、それとも普段の仕事の癖がそうさせたのか、椎名は少し戸惑いながらも伊崎の左足からすべての拘束具を外した。
「…今なら逃げられますよ?」
「そうだな」
「逃げないんですか?」
「…今更なに言ってんだよ。逃げねーよ」
「なんでっ…こんな酷いことされたのに…っ!」
椎名は美しい顔をゆがめて伊崎の顔の両側に手をついた。
伊崎の顔に椎名の涙が落ちる。
それは降りはじめた雨のように伊崎の顔を濡らした。
「お前がそれ言うかよ…」
伊崎は自由になった手で、椎名の頬を撫でた。
「さっきの質問の続きだけどな。新しい事業にお前を連れて行くつもりはねーよ」
椎名の顔がおびえた小動物のようにピクン、と震えた。
「今はな」
「…え?」
「これは俺の挑戦だ。賭けだとも思ってる。そんな道に、大事なお前を誘えるかよ…」
「それって…」
「軌道に乗ったら必ず、お前を呼ぶつもりだったよ」
「…伊崎さんっ!」
椎名が伊崎の首に巻きついた。
耳元で椎名の嗚咽が聞こえる。
「まったく早とちり野郎が。ほら、顔見せろよ」
「…っ…伊崎さんっ…ごめんなさい…っ」
椎名は涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げた。
「もういいから、続きしろよ」
「いいんですか?僕に抱かれても」
「あ、でもちょっと待て」
伊崎は状態を起こすと、椎名の腕を引いて一気に組み敷いた。
「やられてばっかじゃ腹立つから、今度の主導権は俺だ」
「…伊崎さん、本当にオトコ初めて?」
「バカ言え。お前が初めてに決まってんだろ」
「本当かなぁ…今ので僕、不安になってきました」
「ははっ!…じゃあ今からお前が調べてくれよ…」
伊崎はやさしく椎名に口づけた。
涙でしょっぱいキスだったが、もう鉄の味はしなかった。
Fin.
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