ツンデレ恋人のサプライズ。 (Page 4)
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翌日、俺はベッドにこもる彼の前で正座をした。
「シグレ、ごめんって…」
「許さない」
朝起きて、水を飲もうと冷蔵庫を開ければ、そこには手作りの料理が並んでいたのだ。
それから『ハッピーバースデー』と書かれたホールケーキまで。
料理上手で器用なのだから、ケーキも作ってくれたのだろう。
「シグレ…」
「絶対に許さない」
「うっ…」
昨夜、あんなに冷蔵庫を開けるのを止めていたのは、ケーキを冷やすためだったらしい。
食事をしてからセックスをする気みたいだったけど、俺の帰りが早かったのでケーキが未完成のままだったとか…。
「シグレ、機嫌なおして?」
「ヤダ」
「シグレ、ごめんなさい」
「……」
返事がとうとうなくなってしまった。
二回くらいやって、夕飯にするつもりだったらしいが、俺が自分の欲を吐き出すために計画を潰してしまったのだ。
知らないことはいえ、シグレの気持ちを受け止めれなかったのは事実。
「シグ…」
名前を呼び掛けたとき、シグレが布団から顔を出してポツリとつぶやく。
「…誕生日、おめでとう。真冬」
そしてすぐにそっぽを向いてしまったシグレに、俺は飛びつくように抱きしめた。
「ありがとう、シグレ。愛してるよ」
「…うん、俺も」
「シグレ!」
「うっさい!」
ツンデレの恋人は、世界で一番、愛おしい恋人だ。
Fin.
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