隣、あいてますよ!
陽介とリョウは幼馴染み。奥手な陽介はリョウに背中を押されて初めての一人暮らしをはじめようと決意する。リョウのお隣に引越してきたのだが何やら部屋の様子がおかしい。リョウの部屋を訪れると、「やっとこの日が来たんだね…」と突然キングサイズのベッドに押し倒された!
花田陽介もうすぐ26歳、生まれた時から両親と住んできたマンションを出て自立し、ついに一人暮らしの始まりだ。今まではなんでも両親に甘やかされてきた自覚はもちろんあったけど、なかなか自立するのにはきっかけがなく、25年間もお世話になってきた。きっかけをくれたのは、リョウ君だ。
小久保涼は、同じマンションで生まれ育った同い年の幼馴染み。早生まれで子供の頃は小さかったのに、負けん気が強くていつも引っ込み思案な陽介を引っ張ってくれていた。中学の時にあっという間に背を抜かされて、みるみるイケメンに成長を遂げたのだった。
「性格よし、頭よし、愛想よしとき文句なしのイケメンなリョウ君の唯一の欠点があるとしたら、たぶん僕のことを構いすぎるところだろう」と思っていた。子供の頃は僕をお嫁さんにもらうんだと周囲の人達に豪語し、ファーストキスも奪っていった。
思えばずっと僕の側を離れず過ごしてきた。ときに手を引っ張られ、いたずらにキスをされたり、たまにケンカもしたけど高校もずっと一緒だった。完璧すぎる幼馴染に憧れないはずもなく、ずっと自慢の親友だった。
大学を出て就職をしてからは、お互い日々仕事に追われて忙しく、リョウが一人暮らしをはじめてからは、すれ違ってばかりだった。それでも時間が合えば互いの家でだべったり、たまに出かけたりと変わらない関係は続いていた。
そんなある日、またいつものように陽介の部屋でゴロゴロとしていた時だった。
「よーちゃんもさ、もう26歳になるんだし、そろそろ実家出てもいいんじゃないの?」
そんな一言がきっかけだった。
「うちの隣空いたよ?」というリョウの一言に、心配症の両親もリョウのお隣なら安心だと、あっという間に話はまとまった。
タオルや寝具はリョウの家に余っているのがあるらしいので、ひとまずお言葉に甘えることにした。後はもう身一つで行けばいいだけだ。下見もせず、すべてリョウ任せで手続きが済んでしまった。
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