コハク色の罪の香り

・作

結婚15年になるトオルは、偶然立ち寄った喫茶店の店主になぜか惹かれて、会社帰りに立ち寄ることが楽しみになっていた。店主とも少し仲良くなれた矢先、仕事疲れがたたってトオルは店で眠ってしまう。店主に起こされて寝ぼけていたトオルはそのまま店主にキスをしてしまった。慌てるトオルに対し店主は意外な行動をみせる。

午後8時。改札を出たトオルは駅前で賑わう人並みを足早に抜けていく。

大通りから1本入った裏通りは、人通りが少ない。迷いのない足取りで進んでいたトオルはやがて、1軒の店の前で立ち止まった。

石造りの門柱の前に『こはく亭』と書かれた木の看板が立っている。門柱にぶら下がっているトルコランプとツタの絡んだ木の扉が異国のような雰囲気を醸していた。

「いらっしゃいませ」

カランカランと鉄製のウィンドゥチャイムを鳴らして店内に入れば、形式的な声が飛んでくる。店中にコーヒーの香りが漂っていた。

声の主である男は、カウンターの奥からトオルの姿を認めるとフワリと柔らかく笑んだ。

「お疲れ様です。今夜も本日のコーヒーでいいですか」

少し気恥かしくて、トオルは鼻下を擦りながらペコリと頭を下げた。

「うん。お願いします」

男はサイフォンの機械に1番近い位置の、カウンター席へトオルを誘導した。

 

トオルが初めてこの店を訪れたのは、3ヶ月ほど前。持ち帰りの仕事を片付けるべく、静かで集中できる場所を求めて見つけたのがこの店だった。駅から近く、喫茶店でありながら夜10時までやっているというのも利点だった。けれど理由はそれだけじゃない。

「お待たせしました」

10分もしないうちに、香りのよいコーヒーが運ばれてくる。

「ありがとう」

トオルがそう言うと、男はニコリと笑った。それが、トオルがこの店に通う大きな理由だった。

上質なコーヒー豆のような、艶のあるこはく色の髪は緩くパーマがかかっていて、その男によく似合っていた。落ち着いた雰囲気だが顔立ちは若く20代半ばにしか見えない。初めて訪れた時、トオルはその男を店の従業員だと思っていた。

通い始めて3ヶ月。その男以外の従業員には一度も会っていないことに、トオルが気付いたのはごく最近だった。

公開日:

感想・レビュー

スパム対策のため現在コメントの受付を一時停止しております。

人気のタグ

ハッピーエンド 甘々 エロい エロエロ 無理矢理 胸キュン ゲイ ほのぼの 年の差 ちょいエロ ノンケ 切ない 同級生 リーマン 年下攻め 誘い受け 職業もの 健気受け シリアス 調教 ドS スーツ エロすぎ注意 絶倫 玩具 メスイキ 鬼畜 社会人 ダーク 幼馴染み

すべてのタグを見る

月間ランキング

最近のコメント

  • M on おにいちゃんの射精管理攻めの汚喘ぎは人によっては地雷だろうから注意書きかもしくはタグはいる気がする
  • セキ on 抵抗してみて?尊い
  • ヨシキ on 泡まみれ~新人ソープくんは優男ボーイに絆されて~素敵です!! 最初澪くんの切実さとコンプレックスが可愛いな…と思って拝見していたのですが玲さんの優しいこと…!🙏✨ 玲さんも澪くんにソープ嬢をさせること自体嫌だけど、せめて本番だけでも守るため…という気持ちからの研修なんですよね😂 一目惚れからそこまで守りきろうとする玲さんにときめきです…!❤️‍🔥 特に好きだったのが澪くんが必死のアピールをするために玲さんのお顔にその巨乳を押し付けたところです…!! 可愛すぎませんか…!!❤️‍🔥❤️‍🔥 この2人には幸せになってほしいです✨
  • セキ on 通い猫に恋をしたこのまま結婚すらゃあいいのに そしてあおいをハヤトサン幸せにして〜
  • セキ on 通い猫に恋をしたこのまま結婚すらゃあいいのに