嫌われても俺は

・作

刑事の悟とヤクザの舎弟をしている竜也。悟と竜也の関係が組で噂され始めるのと同時に、竜也の組の麻薬摘発に悟の部署が動くことになった。竜也と自分を完全に引き裂くため、悟は愛する竜也に最悪な別れを演出する。

俺は、もともと女には興味がない。鬱陶しいと感じるくらいだ。男といるほうが楽だといつの時期からか気づいてしまったのだ。

同期のやつからいわせると、俺は天然の人たらしらしい。そのため、男女問わずお誘いが絶えないのだ。俺もそれは自覚している。

いま付き合っているのも男だ。女とも付き合ったこともあるけれど、やはりめんどくさい。それに俺には、どうしても忘れられないやつがいたのだ。

佐藤竜也(さとうりゅうや)。俺の幼馴染みであり、中学までの同級生なのだ。しかも、とある組の舎弟に入ったとも聞いている。俺の初恋の相手だ。

その組は、今回の麻薬取引と関係があるらしい。もし、俺と竜也の関係が知られたら、俺は解雇だけで済むだろうが、竜也は命が危なくなる。

俺の部署は、ある組の麻薬取引の状況を探っていた。今回、麻薬取引の摘発に有力な情報が耳に入ったため、最終確認のため動向を探っているのだ。

俺のほうには、まだ竜也のことは知られていないが、竜也のほうには組の内情を探るために「警察と関係のある女」が潜入しているという情報が入ってきているみたいだった。

俺と竜也との関係が組にばれるのも時間の問題になってきたのだ。

――悟(さとる)…俺、悟にもう少し早く出会っていれば…

以前、竜也が放ったつぶやき…。あれは、なにを伝えたかったのだろうか。

「九条(くじょう)君、君も摘発に同行するように。問題ないだろう」

上司に、声を掛けられ現実に戻される。摘発に向けての最終確認をしているのに、いろいろなことが頭を駆け巡り注意力が散漫していた。

「はい。大丈夫です」

「明日の夜20時、忘れるなよ」

取引の時間を確認され、上司は会議室をあとにした。それまでに決着をつけないといけない。

俺は竜也にある告白をするためにSNSで呼び出した。

『きょう会えないか。ノブレスホテルの2057号室で待っている』

3分後、メッセージが帰ってきた。

『どうしたんだいきなり。わかった。22時くらいでいいか?』

『分かった。いいワインを用意して待ってる』

俺は、ホットコーヒーを一口飲み、返事をして仕事に戻った。

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