恋より深く、愛より重い

・作

ニシとウメダは15年もの付きあいになる仲のよい同期だった。初対面から同じ関西出身ということで意気投合したのがきっかけだった。ただ、単に仲のよい同期というだけでなく、2人は互いに都合のよいセフレでもあった。今日も2人は互いの欲を開放するためにセックスをするのだった。

夜の9時を回った頃、珍しくインターホンが鳴り、ニシは不思議そうにモニターを確認した。そこに映っていた人物を認め、すぐに玄関の扉を開ける。部屋着のスウェット姿のニシとは対照的に、訪問者は、ネクタイを少し緩めてはいるものの、スーツ姿でニヘラと笑っていた。

「おーウメダ。おつかれ…さん?」

ニシがそう声を掛ければ、ウメダと呼ばれた男はヒョイと軽く片手をあげて、ズカズカと部屋に入ってきた。ほんのりと彼から漂うアルコール臭に、ニシは微かに眉を寄せた。

「飲み会帰りかいな」

「おかえりなさい会やな。まだ盛り上がってたけど抜けてきた」

勝手知ったるといった感じで、ウメダはスーツのジャケットを脱いでハンガーにかけながらそう答えた。

「ええの?主役やろ、お前」

「うん。全員と会話はしたし。皆好き勝手に盛り上がりだしてたから」

「ああ…そう。で?なんでウチ来たん?」

冷蔵庫からミネラルウォーターのボトル出して、ウメダに手渡してやりながらニシが問う。ボトルを受け取って、2、3口、水を流し込んでから、ウメダは口を開いた。

「ニシとエッチしたかったから」

恥ずかしげもなく放たれたその言葉に、ニシは頬をヒクつかせて笑った。

 

「ちょっ…!お、前!!なんやねん!半分酔ってるやろ?」

会話もそこそこに寝室まで引っ張り込まれて、ニシは焦った声でウメダの肩を叩く。スウェットの裾から滑り込ませていた手を止めて、ウメダは不服そうに、形のいい眉を寄せた。まるで、なんで止めるのかわからないとでも言いたげに。

「3ヶ月振りやんか。なんで焦らすん」

「デリカシーなさすぎやろ!お前これ、彼女とかやったら速攻フラれてるで」

「そんなん知らん。俺はニシとエッチしたいねん。今すぐ」

そうピシャリと言い放たれて、ニシもなにか言ってやろうと息を吸う。が、その直後、太ももにグリっと硬い熱を押し付けられて、思わず息を呑む。そのニシの反応に、ウメダの口角が満足そうに上がる。

「わかるやろ?めっちゃ勃ってんの。酒入ってんのにビンビンやねん」

そんなん知るか…と、言いそびれたニシの口は、ウメダの厚くて柔らかい唇に塞がれた。

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