君の隣でいるために (Page 2)

「っん!?」

あまりに唐突なキスに驚いて、トントンとタクマの肩を叩いてみたけれどやめてくれる気配は全くない。

「んー!」

「口、開けて」

僕の唇に触れたまま、タクマが言う。その声に僕は弱い。

「…んぅ」

反射的に緩く唇をあけてしまって、スルリと入りこんできた舌に口内を犯される。静かな楽屋の中に濡れた吐息がやけに響いていた。

タクマの手がスルリと腰元を撫でてきて、その知った感覚にドクンと体の中心に熱がこもるのを感じた。それでも理性を手放したわけではなくて、ブンブンと首を振ってようやっと長いキスから逃れる。

「何、してんの。ここ楽屋だろ」

目の前の相方をにらみつけて言った。けれどタクマはまるでそうすることが当たり前とでもいうように、グイッと僕の身体を抱きしめてきた。

着替えそこねて下着のままだった僕の、後ろの割れ目にツツ…とタクマの指が這う。そうして、ボタンを1個外しただけだった衣装のトップスも器用に脱がしにかかってきた。

「ちょっ…と!」

抗議の声にフフッと耳元で笑い声。吐息混じりのその声にゾワリと身体があわ立った。

タクマは片手で器用にボタンをすべて外すと、キラキラとした僕の衣装をバサリと取り払った。アンダーシャツなんて着ていないから脱がされてしまった先は裸だ。

「リョウ、勃ってるよ」

自覚はあったけれど、タクマの口からその事実を言われたことでカァッと顔が熱くなる。

「っ…うるさい。誰のせいだよ」

「俺?リョウが感じやすいだけじゃねーの」

悪戯に割れ目をなぞっていた指がスルスルと前に移動してきて、半勃ちになった僕の自身を下着越しに握ってくる。

「や…めろっ」

抵抗しようとしたそのとき、扉を隔てた廊下からパタパタと足音が響いてきた。思わずゴクリと生唾を飲む。パタパタと忙しない足音は僕達のいる楽屋の前を通り過ぎて徐々に遠ざかっていっているようだった。タクマも少し警戒したのか、扉をジッとにらみつけている。

「な?マネージャーも入ってくるかもしれないし、離してよ」

こんな状況でも何とか冷静を取り繕ってそう言えば、タクマは扉に向けていた目を僕に移してきた。クッキリとした二重の綺麗な瞳に熱っぽくねめつけられて、不覚にもドキッとさせられる。

「こっち」

そう言って、タクマは僕の手を引っ張ってスタスタと歩きだした。

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