マフィアの兄弟盃!?
嵐組とライジング・ファミリーは最近カチ合いが近いとされていた。そんなある日、嵐組の次男坊、颯太のもとへ兄弟盃を条件に友好関係を築かないか?という提案が投げかけられる。相手はファミリーの一人息子のマックだった。颯太は快諾し、兄弟盃(さかずき)をかわしに行くが――!?
兄弟盃という言葉がある。
ヤクザが深い絆を繋ぐときに、盃を交わして友情を誓い合うというものだ。
俺、嵐園颯太は嵐組の次男坊であり、次期に組の重鎮として君臨する男の一人である。
顔は俗にいう強面というヤツであり、小学生のころから図体もでかいことからとにかく女の子には怖がられた。
例えば高いところに引っかかった風船を子供にとってあげても、泣かれるのだ。
そんな俺に、とある話が舞い込んできた。
兄いわく、最近カチ合いそうになっているマフィアのボスの息子が俺のことを大層気に入ったとのことで。
兄弟盃を交わしてこれから上手いことやっていこうじゃねえか、という話にしてくれたとのことだ。
兄貴の頼みであり、相手のマフィア「ライジング」もかなり大型のファミリーとして有名だった。
たしかに相手の根城に行くのにはリスクがある。罠(わな)である可能性さえある。
しかし、この家のためだと思えば断る理由などなかった。
*****
これが今回の訪問の経緯である。
そうして俺は彼らのホームへとやって来た。
明らかにこちらをにらみつけているような視線を感じるが、俺は指定された面会の部屋へと進んでいく。
「嵐組、次男が嵐園颯太!入る!」
部屋にいたのは正に優男、という言葉が似合う爽やかな青年だった。
「アンタがライジングのマックか?」
マッケローニ・ライジング。ライジング家をじきに継ぐ一人息子だ。さらっとした短い金髪に、宝石のような青い目。まさに美丈夫といわんばかりの顔だ。
若くて相当の美形という話は聞いていたが、まさかここまでとは。
「あなたがアラシですか?ああ、会いたかったです」
「めちゃくちゃ日本語が達者なんだな」
周囲を警戒しながらも、まずは挨拶をする。
マックは席に座るように俺を誘導すると、特上モノだと思われるワインを注ぐ。
「ああ、大丈夫ですよ?部下は置いてませんので」
にこにことほほ笑むと、「さぁ、さっそく交わしましょうか。あなたと僕の盃を――」
と言い、ワインを一口で飲み干すと、俺のほうにきて、口づけをしてきた。
「ああ、大丈夫ですよ。優しくしますから」
「…!?なにすんだ、テメェ!!」
「僕たちにおける兄弟盃というのは、このような行為なので」
マックはそのまま想像以上の力で俺を押し倒すと、器用にスーツを脱がしてきた。
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