愛おしい年上彼氏 (Page 5)
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「ああぁぁ~……やっちゃったぁぁ~」
「別に気にすることないだろ」
「気にするって!だって、おまえ、ゴムしてなかったんだぞ、ゴム!それだけはもうしないって思ってたのに~!」
俺にイかされた白斗は、三日ぶりの解放感にひたるのもそこそこに、すぐに懺悔(ざんげ)した。
無理やりでもなかったし、むしろ最後はどちらかといえば俺が悪かったから、そう気に病むことはないと何度も言った。
悲惨なことになっている冷凍食品を手にしながら。
「大丈夫か?!れん、腹、痛くなるんだろ!?ケツも腫れちゃうし、うわあぁ、ごめんなぁあ……!」
「すぐ風呂に入ったから大丈夫だって。おまえ、過保護だよな、意外と」
「あれ、すっげぇ辛いんだってネットで見たしさぁ!久しぶりだったから手加減とかしてやれてねぇし!」
「めそめそしてんじゃねぇって。俺がいいっつってんだから、いいんだよ」
いいから、おまえも風呂に入ってこいよって促すと、白斗は、ごめんな、ごめんなと繰り返していた。
気づけば、昼はとっくに終わっていた。
もう夕飯の支度だな、とひとり笑っているとインターフォンが鳴った。
「あ、本川さん。どうしたんですか?」
「ごめんなさいね、肉じゃがを作りすぎちゃって、よかったらって思って持ってきたんだけど」
「うわ、すみません。いつもありがとうございます。俺も白斗も本川さんの肉じゃが、大好きです」
「あら、そう?よかった!主人も好きなんだけど、退院したばかりでこんなに食べられないって言われちゃって」
本川さんから肉じゃがが入ったタッパーを受け取っていると、ガチャッと風呂場のドアが開いた。
「れん~、ごめん~、コンタクト流れてった~!着替えも忘れたし、もう最悪……、ん?いい匂い!あ、もしかして肉じゃが?!」
「………」
「あらあら。お邪魔だったみたいね。ふふふ」
「その声、本川さん?!肉じゃが持ってきてくれたんですか!」
「きちんと体を拭いて髪も乾かしてから食べてね。風邪、引かないようにね」
「ありがとうございまーす!」
「はぁ……」
本川さんだったからよかったものの、なんというか、やっぱりこの男はどうしようもないらしい。
でも、おかずが一品できあがってるのは、ありがたいな。
「もっとかわさんのにっくじゃが~!」
「ここで踊るな、バカ」
「あ、れんの作る肉じゃがも好きだぞ!九州生まれのおじいちゃんの味ってやつ!男が料理できるってかっこいいよなぁ!」
着替えを持ってくると、白斗はありがとう、と受け取り、そして、ハッとなった。
「れん!体、大丈夫!?」
「大丈夫だから、さっさと着替えろって。すぐ夕飯にするから、おまえは仕事の準備……」
「れんが心配だから休む!」
「休むな」
「やーすーむーうぅ!」
ジタバタと騒がしい男に、今日も仕事を頑張ったら、次の休みも、なんて条件をつければ、パァッと笑顔になった。
「約束したからな、れん!いってきまーす!」
明日はゆっくり休もう、そう思った。
Fin.
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