この夜が明けませんように
ライとフウは幼馴染で、それぞれが王族の家系と仕える騎士の家系という関係だった。そのため、幼いころから二人で遊ぶことも多く、フウは将来、ライのための騎士になると心に決めていた。しかし、フウの心の中にはそれ以外にも彼に対する恋心があった。そうして今日は、ライがいいなずけと結婚する日であった。
幼いころから僕、フウはライと一緒に過ごしていた。
僕は彼のための騎士として、ライは将来この国を担う王として。
二人は同じ王宮で学び、ときにいたずらをして叱られるような日々を過ごしていた。
ライは本当にまっすぐで勇敢な性格だった。
「将来はお父様みたいな王様になるんだー!」
と勉強に励み、剣術も磨いた。
勉強自体はあまり得意ではなかったものの、僕や先生に必死に張り付いて毎日教わっていた。
僕自身はどちらかといえば剣術よりは勉強が得意な方だったので、よく勉強でわからないことを聞かれることもあった。
「フウ!ここわかんないから教えてー!」
「いいですよ」
そんな彼の姿を、僕はずっと隣で見守り続けてきた。
彼は本当にまっすぐで、優しくて、王になるにふさわしい人物だった。
*****
そうして成長した彼は、父親に代わり王様になることが決まった。
王子として毎日街の人とふれあいを欠かさず、ときにはドジを働くこともあるが、そこも親しみやすいと彼は本当に人気だった。
僕も少しずつ実力を高めて、彼の一番の騎士になることができた。
けれど、この許されない思いだけは変わらなかった。
(ライ様、あなたが好きです。例え、あなたに結婚を約束した方がいたとしても――)
ライには父親に決められた結婚相手がいた。
それは隣国のお姫様であった。
かわいらしい見た目をしており、戦いは好まない、淑女であると聞いている。
とても素晴らしい人で、国民皆から愛されており、今回の縁談も両国ではとても素晴らしいものだと皆喜んでいた。
今日は二人が誓いを交わす、祭りの前日の夜であった。
僕は一人、ライ様の部屋を訪ねる。
「お邪魔します」
「お。フウ、来てくれたか」
ライは紅茶をいれると、机の上に置いた。
僕は乾いたのどを潤すように、紅茶を流し込み、ライ様の方によって行く。
「…」
僕はライ様を無言でベッドに押し倒す。
ライ様はどこか、すべてをわかり切ったような表情をして、僕の口づけを受け入れた。
くちゅ、くちゅ、と僕の下がライ様の口の中をはい回る。
ライ様は「…っ」と少し顔を赤らめながら、それを受け止める。
僕は唇を離して、聞いた。
「どうして、受け入れてくれたんですか」
涙がこぼれてきた。
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