【悲報】飼い犬に童貞処女を奪われました! (Page 3)
今時の若者は恋愛に奥手、なんていうけれど、18歳になるまで童貞を捨てられずに、大学へ進学したのは僕くらいじゃないかな。
僕――横溝亮太(よこみぞりょうた)は、学校のキャンパス内で、肩を寄せ合って笑う何人かの男女を疎まし気に見つめていた。高校生までであれば、友人の半分は童貞を醸(かも)し出していたし、愛を囁き合っているカップルを見ては、今の自分のように『くだらない』『恋愛なんて面倒なだけ』と関心のない素振り(そぶり)だったのに、大概の子たちは見事な裏切りを果たし、大学デビューで彼女を捕まえていた。あんなに『気持ち悪いし、あり得ない!』と馬鹿にしていた手つなぎデートや、物陰に隠れてのキス…しまいには。
「ふー…」
スマホの画面上には、僕と同じく童貞を貫くと言い張っていた幼稚園からの腐れ縁、佐野が写っている。怪しげなホテルのベッドで似合わないバスローブを羽織り、Vサインをカメラに向けちゃって。その隣には、胸の突起を腕で隠した小麦肌の金髪ギャルがいて、僕がお世話になったことのないシロモノ…避妊用ゴムを咥えていた。
(こんな写真を送ってくるなんて…変な女の人に引っ掛かって、頭がおかしくなっちゃったんだろうなぁ…)
いや、おかしいのは僕の方かもしれない。何たって、セックスの仕方を知らないばかりか、オナニーだって未経験なんだもん。知識といえば、小中学校で習った子供から大人への身体の変化だとか、高校の保健体育で学んだゴムの正しい装着手順と、避妊の方法くらいだ。
誰も気持ちのいいオナニーの仕方だとか、オススメのアダルト動画を教えてくれない。使わない知識は淘汰(とうた)されていくばかりで、思春期に何度かあった夢精すら、最近ではほとんど起きなくなってしまっていた。
「もう枯れちゃった…なんてことはないよね?」
せめて高校生になれば成長するだろうと信じていた身長が止まり、体毛も濃くはならなかったし、筋力だって弱い。男として重要な陰茎は6センチあるかどうか。これでは、普通のTシャツを着ていても、裾で全部隠れちゃうよ。用を足すときも他人に見られるのが嫌で、いつも個室の便器を使うしかなかった。勃起をしたらマシになるかと思って少しだけ触れてみても、今イチ気持ちよさがわからず、18歳を超えたからといって相手探しに踏み出す勇気もなかった。
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