夜の帳のうつろい
庸介(ようすけ)は男色をたしなむ男だった。隠していたわけではないが、それは噂となり商い仲間の平太(へいた)の耳にも届いた。そして平太は言った。「オレのも扱いてみて」と。興味本位での言葉だったが、庸介の手腕に鳴かされた平太は──。
床にぽとりと零れる透明な雫。親しい商い仲間である平太の、成熟し始めた体──緩む口から、赤く腫れた性器から、ハリのある肌をもつ体中から──芳醇(ほうじゅん)な液体が分泌され、そしてそれが溢れていた。
ツルリと膨らむふちの下のくびれを、指先でこする。平太は、びくん、びっくんっ、と身震いをした。俺の袖を左手で掴み、右手はまるで赤子のように口元に添えている。背中は猫のように丸まり、平太の勃起を上下に摩擦するたびに弾かれたように震える。俺との間に吐き溜められる吐息は夏の空気のように湿って熱い。
「庸助、もういい、あとは自分でするから、っ」
「今頃なにを。もう少しで果てるだろう。ほら、俺の手は気持ちいいだろう」
「やめ、そういうこと言うな……んッ」
そう言いつつも平太のはちきれそうなくらいに腫れたソコは、ぬるぬるとした液体を先端からさらに溢れさせていた。俺の下半身も痛いくらいに膨張していて、自分のを扱いているつもりで平太のモノを擦ってやった。
さっきまではちょいとイジワルしてやろうと、焦らし気味にしていた。しかしそろそろ俺の自身のも果てさせてやりたい。肉棒に絡みつくような扱き方から、根元から先っぽへ、精を誘導してやるように扱いてやった。亀頭でぐるりと手をひねり、葡萄(ぶどう)をもぎとるようにして先端を刺激してやる。するとさっきよりも平太の体はうねうねと快感に波打った。
「ひっ、なに、急に激し……っ」
「これが俺のやりかた」
「お前、いつもこんな、ンッ、あ、まって、イく、イきそ、あ、あぁ──ッ」
どぴゅっと熱い液体が尾を引いて放たれた。寝巻の白よりも色が濃いような。腹のあたりにかかった精液を見て、そう俺は思った。
「変な誘いをするんじゃなかった……」
背中から布団に倒れ込み、息を乱しながら平太は言った。
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