あなたの猫になりたい (Page 4)
昨夜とは違い、課長の攻めは直接的で、あれだけ執拗(しつよう)だった胸の愛撫もそこそこに、骨ばった指が僕のそれをつかみ、擦り始める。思い出し官能、というべきか、すでに高ぶり始めていた熱は、新たな刺激であっという間に頭をもたげ、先は濡れ、にちゃにちゃと淫らな音がたった。耳元で、課長の荒い息が聞こえる。昨夜のようなしたたり落ちる蜜のような甘さはなく、どう猛な野生の獣に食われるような心地がした。
「かちょ、ん、きもち、い」
見上げれば、こちらをじっと見つめる一対の目とかちあった。情欲に濡れた瞳に僕が映りこむ。空いたほうの手が、僕の後頭部にするりとまわって引き寄せられ、唇が重なった。扱く手の激しさとは裏腹に、軽い戯れのようなリップ音が続く。
「ん、ふ、あ…ぁ、ん」
ぬるりと舌が潜り込み、口内をぐるりと舐めて、口腔(こうくう)をなでる。ぞくぞくと背筋に官能が走り、腰がかくついた。
「んぁ、かちょ、かちょう…いく、でちゃう、…きもち」
「…っ、あんまり鳴くなよ、かわいすぎる…」
「猫、みたいには、にゃけな…」
「にゃんにゃん言ってるよ、ずっと」
かり、と弱いところを引っかかれて絶頂する。高く鳴くはずだったその声は、課長の口内に飲み込まれた。ぐったりと脱力する体を抱かれ、脚を大きく開かれる。後ろまで垂れた僕の放ったものが、大きな手で窄まりまで塗り込められて、指先が潜り込み、小さく前後する。
「んっ、あ、あ、ぁ、あ、ん、ぁ…」
「今2本目な。熱くて、やわやわ、えろ…」
気持ちのよさに頭がぼーっとして、課長の声はどこか遠い。絶え間ない快楽に、僕はなされるがままだ。大きく腰が跳ねて再び絶頂したと思う。弛緩した体は、どこを触られても甘ったるい声が出る。――ぴたり、と散々いじられた後ろに、熱が押し付けられた。指とは明らかに違う質量が、ぐっと中に入り込む。
「はっ、あっ、ん…」
ずるりと中へ抜き差しされて、熱く硬いものがどんどん奥へ侵入する。課長の息が荒い。潤む視界で見つめると、時折むさぼるようなキスが落ちてくる。腹が何度もひくついて、そのたびに低いうめきが聞こえた。
「動くぞ…」
と予告する前に、激しい律動は始まっていて。
「あっ、ああっ、やっ、あんっ、きもち、かちょ、きもちっ、ああっ…」
ぱんぱんと肌を打つ音が響く。濡れた視界には、大きく腰を揺する課長の体と、ぶらぶらと揺れる僕の脚。汗に光る体に縋(すが)りつこうと両手を広げれば、目をすがめた課長が嬉しそうに口角を上げて、覆いかぶさってくる。
「はぁ、…中、熱い…」
コツコツと奥を突かれ、僕はそのたびに中を締め付ける。緩急をつけて攻める硬い腰に脚を回して、口内を探る舌に僕のそれを絡ませた。
「ん、ぁ…ん」
奥を穿つ課長のものが、ぐっと質量を増す。両手を課長の後頭部に回して、深く口づける。律動は止まらない。淫らな水音も絶え間なく、荒い呼吸音と交じりあう。
「――っ」
ぐ、と静止した課長の体。次いで、奥へ放たれる熱いもの。その刺激に、僕の体が弓なりに反れた。
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