最低なケダモノと難儀な性癖について (Page 3)
多分、どこかで気を失ったんだと思う。
セックスの途中も意識が途切れていて定かじゃないが、クッションに上体を押し付けられて背後から犬みたいに犯されてたあたりで記憶がなくなっている。
悔しいことにツグキヨに抱かれると高確率で抱き潰されるので、今更驚きはしないが。
「──…」
こうして目を覚ましても、ツグキヨが隣で寝ていることはめったにない。
むしろ今みたいに、ビールの缶を片手につまらない深夜番組を眺めながら煙草をくわえている、クソみたいな後ろ姿をみることのほうが多いだろう。
「たばこ、くさい」
「んー? メグル起きたんだ、朝まで寝ると思ってた」
喘ぎすぎて喉がかれていたのが幸いだった。
オレが起きなきゃ声も掛けずに出ていくだけだもんな、なんて恨み言じみたセリフは吐きたくなかったから。
「ここんとこさぁ、何人か女の子の部屋転々としてたんだけど、やっぱメグちゃんが一番身体の相性いいわ。自分でも笑えるぐらい射精したぁ」
「クズ」
「あはは。ひんひん鳴いてたくせにデカいくちたたくなよ。またヤりたくなるだろ?」
ちろりと流し目を向けられて、思わず舌打ちをこぼしてしまう。
そんなオレを見てツグキヨは笑うと、ビールをあおって立ち上がった。
何だ──もう帰るのか。
いや、都合のいい女の家にでも転がり込むのか。
どちらにせよ、さんざんオレを犯して満足したんだろうから、さっさと出ていってほしい。
「メグル」
「…?」
「新しいカレシとオレのセックス、どっちがヨかった?」
「かれし、じゃない」
「あれ? セックスするお友達?」
「あいつと、つきあうつもり、は、ない」
「なーんだ、寝取りシチュエーションかと思ったのに。ま、いいや。あの程度の男じゃメグルに釣り合わないよ、遊ぶだけにしときなね」
「うるさい」
ツグキヨみたいなクズ野郎に言われる筋合いはないが、恋人と勘違いされたやつに愛着もないので特に思うことはない。
どうせ特定の相手ができようができまいが、ツグキヨがヤりたいといえば犯されるし、確かにこいつと身体の相性がいいのはオレも認めるところなのだ。
性格も性質もゲス極まりないけど顔はいいしセックスも上手いし、さっさと結婚でもして身を固めちまえばこの腐れ縁みたいな関係もすっぱり終われるだろうに。
しかし女が切れないツグキヨだけど、こんなクソみたいな男を特別にしてくれるような仏みたいな女はなかなかいないようだった。
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