最低なケダモノと難儀な性癖について (Page 4)
「メグちゃーん」
「は、あ?」
枕元、オレの顔のところにきたツグキヨが、にんまりと笑いながらデニムのジッパーを下ろして…ちょっと待て。
「おい、ツグキヨ」
「それそれ。声がかれててセクシーだね。えっちだからしゃぶって」
「おま…ほんとにばかじゃん…」
帰るんじゃなかったのかよ。
ゆるく頭をもたげたペニスを押し付けられて、抵抗できずにくわえるはめになった。
疲れてるのに…オレはつくづくツグキヨに甘い気がする。
「あー、メグルは口ですんの上手だね…ちょっと前の女がヘタクソでさぁ」
「んン」
「はは、くらべてごめんね? ヤキモチやいちゃった?」
誰がするか、ろくでなしめ。
「はア…メグは面倒くさいな」
「──…はあ?」
「お前が一番だよって言っても信じないし、束縛されんのも嫌いだし。オレがクソ野郎だと安心するんでしょ?」
「ツグキヨは、まちがいなくゲスいだろ…」
「メグルのためだよー。お前はさ、いついなくなってもおかしくないような下劣な男が後腐れがなくていいんだって顔してるけど」
唾液でべたべたに濡れたペニスをオレの口唇に押し付けながら、ツグキヨがうっそりと笑う。
これ以上は余計なことまで口走りそうだから大人しくペニスをくわえ直すと、ずぶりと喉まで突かれて涙が出た。
やっぱクズだこいつ。
「馬鹿で可哀想だねメグル。でもオレはお前に優しいから、好きでもない女を引っかけてろくでもない人間に成り下がってやるよ」
そもそもがろくでもねえよと心の中でののしるけど、耳から頭をデカい手のひらで押さえられて口の中を犯されると、下品に濡れたいやらしい音だけが脳に響く。
熱くて苦しくて何も考えられなくなって、頭がおかしくなりそうだ。
ほんと最低。
「──…オレのこと一番愛してるのに、いつ気が付くんだろうね?」
オレを見下ろすツグキヨが、笑いながら何かをつぶやいた。
言いたいことがあるなら聞こえるように言えよと思ったけど、なしくずしでもう一度抱かれたら忘れてしまった。
何でこんなやつにいいようにされてるんだろう…でもきっと、次にたずねてきたらまたツグキヨと寝るんだろうと思う。
これが諦めなのか、依存なのか、オレには名前を付けることができないまま。
Fin.
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