メインディッシュはとろけるカラダ (Page 2)
素直に褒めてもらえたのが嬉しくて、自然と僕の頬が緩んだ。
「ありがとう。よかったら食べてよ。作りすぎちゃってさ」
「いいのか?やった。俺、甘いもの好きなんだよ。うわ~食べるのもったいないな~」
朝陽はスマホのカメラでクッキーを撮ってから、どれどれ、と口に運んだ。
自分の作ったお菓子を誰かが食べるのは初めてで、ドキドキしていると。
「うん、味もいいな!これ売れるんじゃねぇの?」
満面の笑みでそう言われて、僕は胸がいっぱいになった。
「よかったぁ。朝陽って、甘いもの好きだったんだね」
「ああ。似合わないって言われるけどな。なあ、今度の俺の誕生日に何か作ってよ」
お菓子を催促されたのも初めてで、僕はワクワクしながら頷いた。
「もちろん。じゃあ誕生日ケーキをプレゼントするよ」
「おお、楽しみ~!」
自分の趣味を友達に理解してもらえて、自信を持てた僕なのだった。
*****
朝陽の誕生日当日。
僕は朝陽の部屋に手作りケーキを届けに行った。
部屋のチャイムを押すと、すぐに朝陽が出迎えた。
「朝陽、誕生日おめでとう!」
「おう。わざわざ来てくれて、どうもな。ほら、上がれよ」
朝陽の部屋に足を踏み入れた僕は、あれっ?と首を傾げた。
「誰もいない…。朝陽、一人でいたの?」
人気者の朝陽のことだから、てっきり大勢の友達に祝われていると思っていたのに。
朝陽は気にしていないように笑った。
「別にいいだろ。誕生日をどう過ごしたって」
「それは、そうだけど。皆で誕生日パーティをしてると思って、大きめのホールケーキを作っちゃった」
「いいよ、全部俺が食べるから。開けてもいいか?」
朝陽が箱を開けると、自信作のケーキが姿を現した。
フルーツとマカロンで飾り付けた、生クリームのデコレーションケーキだ。
「うわ~すげぇ!真琴、パティシエになれるぞ」
大喜びの朝陽に、頑張ってよかった、と心の中でガッツポーズをした。
「一緒に食べようぜ。俺、友達にこれもらったんだ。今日で俺も20歳だからな」
朝陽は冷蔵庫からシャンパンを出してきた。
僕たちは二人きりで乾杯をすると、ケーキとシャンパンを楽しんだ。
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