死がふたりをわかつまで?! (Page 2)

「おかえり、早かったな」
「…お前…もしかして俺の死神か?」
「お、さすが理解が早いな。お利口だ」

先程会った死神がいっていたのはこのことだろうか。自分の死神が見えてしまったらもう、寿命とか?いや、俺はどこもなんともない。

よく見ると、この死神はものすごいイケメンの成人男子だ。浅黒い肌、少し長いウェーブのかかった黒い髪、瞳は灰色、少しエキゾチックな顔立ちをしている。薄手の黒いシャツは体にピッタリと張り付き、体格の良さを感じさせた。

他の死神も、日本人だからといって日本人らしい風貌の死神が付いているわけではなかったから、その点は理解がいくが、俺の死神のくせに、なんでこんなにイケメンでたくましいんだ…。

「なんで急に姿が見えるんだ?」
「それは、オレが姿を現したからだよ」
「今までは?」
「お前には見えないようにしていた」
「なんで?」
「なんでって、お前自分の死神が自分の百万倍いい男だったら嫌だろう?」
「…お気遣いどうも」

死神はフンっと満足気に鼻をならすと、ソファを降りて近づいてきた。
「で、なぜ急に姿を見せたかというとだな」
「なんだよ、ちけぇよ。もうお迎えに来たのか?」
「そんなわけないだろ、お前はまだ若く病気もない」
「じゃあ、なんの用だ」

壁際まで追いやられて両腕の間に閉じ込められ、いわゆる壁ドン状態だ。見上げるほどの身長差と、ひと回りは違うだろう胸板の厚さに圧倒され、俺はさらに小さくなる。

「死神ともあろうことに、なんとお前に惚れてしまった。ありがたく抱かれろ」
「…は?!いやいや、嫌だよ」
「大丈夫だ、お前に拒否権はない。オレに体を委ねていればいい」
「いやだから、大丈夫じゃないって!ちょっ、さわんなっ!」

くたびれたシャツの裾を死神の指がめくり、あばらの浮いた脇腹をなぞる。触れたその指は予想外に温かく、触ったところからじんわりと温かさが伝わってきた。
その手に腰を抱えこまれるのを、必死で防ごうと攻防戦を繰り広げるが、結局は壁側に追い込まれている非力な俺に勝ち目はなかった。

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