一生分の片思い (Page 2)

「…っ、あ、あ、気持ちいい…っ」
「素直なほうが、かわいいですよ」

快感から逃れようと、尚輝さんが身をよじる。
肩を押して、その手を乱暴につかんだ。

手をつないでいないと、どこかに行ってしまいそうだ。
最初に彼と会ったときの印象のまま、今もそれは変わっていない。

こうして手をつないでいないと、彼はどこか違う人のところに行ってしまう。
縛り付けていないと、きっと彼はまたあの人のところへ行ってしまう。

「尚輝さん…、僕のこと好きですか…?」
「…うっさい…、そんな関係ちゃうやろ…」

骨ばった尚輝さんの手のひらをシーツに縫い付けて、身動きができないようにしてやる。
憎まれ口をたたかなくていいように、乱暴にその唇に噛みついた。

「んん…っ、ふっ…」

口の端から漏れる吐息すら、いやらしい。彼の存在自体が、俺の気持ちを高ぶらせていく。
汗で濡れた髪の毛も、細い指先も、日焼けした首元も。
そのすべてが愛おしくて、扇情的だ。

自分よりもがっちりとした腰をつかんで、すでに膨張しきっている自身を挿入する。
甘い声が聞こえて、思わず口元が緩んだ。

「…尚輝さんの中、めっちゃいいっす…」
「…っ、は…ぁ、早く…っ」

その体を抱き寄せると、ふわりと洋酒の甘い香りがする。

初めて体を重ねた日も、こんな風に酒に酔っていた。
きっと、酒がなかったらこんな風に俺に抱かれることもなかったんだろう。

だって、尚輝さんは俺なんかよりもずっとずっと強くて、ずっとずっとかっこいい男だ。
俺の助けなんかいらないし、寂しさを埋めようと抱かれに来ることなんて、ないはずだ。

「…佑真…っ」

それでも、こうやって甘い声で俺の名前を呼ぶのはきっと。
きっと一人で抱えきれないほど、大きなものを背負っているからで。
それを誰に打ち明けることもできずに、ひっそりと心の中に閉じ込めているからで。

そのために、俺を必要としてくれているのなら、俺は喜んでその手を取ろう。

「中に…っ、出して…っ」
「…え…っ」
「いいから、はやく…お願い…っ」

いつもは中に出すことを嫌がるくせに、今日は違う。
俺の手を掴んで、離れないようにその指先を絡めてくる。

きっとあの人と何かあったんだろう。
だけど、俺にはそれを確かめることも、何があったのかを問いただすこともできない。

「…イく…っ、イっちゃ…あ!」
「く…っ、尚輝さん…っ!」

どぷどぷという音をたてて、波打つ内壁に白濁を打ち付けた。
こんな愚かな方法でしか、愛していると伝えることができないなんて、情けない。

けれど、尚輝さんが求めてくれるから。
それ以上のことをしたら、きっと。
この人はやっとの思いでつかんだこの手を、いとも簡単に離してしまうから。

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