初体験は玩具でした (Page 2)

「後ろ初めてですか?」

「ああ」

「本番はなしなので玩具入れますね。あーでも、初めてなら時間内に終わらないかも」

「そうなのか?」

「ふふっ」

「どうした」

「いえ、失礼しました」

噴き出すように笑ったテルを、顔だけで振り向く。

桜井はベッドに四つん這いになっていた。

風呂上がりに羽織っていたガウンを、脱いだ方がいいんだろうかと考えていた。

「では、失礼しますね」

「ああ」

顔を正面に戻す。視線を彷徨わせ、最終的に真っ白な枕を見つめた。

臀部が空気にさらされた。下着は履いていなかった。

年寄りの汚い尻を若者に見せているのか。申し訳ない。

「指、入れますよ」

「ああ、うん」

普段排泄される場所に、小さな異物が侵入してきた。

ちいさすぎて違和感があるだけで、遠い昔座薬を挿入された時の方が痛かった気がする。

「桜井さんはどうして後ろ弄られたいんですか?」

「あー、恥ずかしいけど、その、今まで誰も抱いたことなくてな。もしかして逆だったのかなっと思って」

「ネコの方ですか。だったら、今まで抱けなくても不思議じゃないかもですね」

「ネコ?」

「セックスで受け入れる側のことですよ。ちなみに僕はどっちでもいけるんですけどね」

「そう…んっ」

「あ、痛かったですか?」

「いや大丈夫」

初めての経験に、テルは気を逸らそうとしてくれてるのか話を続ける。

尻の違和感は異物感になっていた。

気持ちはよくはない。ローションのべたついた感覚が排泄する時のようで、一向に気持ちよくなる気がしない。

ただの興味でするものでもないのか。それとも年のせいか。

肘を伸ばしているのが辛くなり、尻を突き出す形で顔を枕に伏せた。

なんとも滑稽なかっこうだ。

「どうです?気持ちいいですか?」

「いや変な感じだ」

「ですね」

なぜかテルは納得している。やはり年のせいで鈍感だといいたいのだろうか。

「ちなみに今指何本入ってると思います?」

「え?…一本?」

「人差し指から薬指まで入ってますよ」

「ええ…」

困惑しかない。

排泄口に指が三本も入れらていることを、想像すると吐き気がしてきた。

嗚咽がでそうで唇を噛み締める。

「桜井さん」

「…はい」

「見つけました」

「なにを…」

「気持ちよかったら、ちきんと言ってくださいね」

気持ちいいどころか吐き気がしているんだけど。返事すらしたくないほど。

吐き気がすると伝えたほうがいいだろうか。

唾液を飲み込み、深呼吸して、テルの指に集中することにした。

指は尻の穴を広げている動きをしていた。三本の指がバラバラに動く。探し物をしているように。

見つけると言っていたが、なにを見つけたのだろうか。

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