ごっこ遊び

・作

ショウは今日も自宅に仕事を持ち込んでいた。やっと終わったところに恋人のツバサから抱き着かれる。ふと見ると、ツバサの服装がいつもの部屋着ではなかった。「先生」の呼び声を合図に、二人は今日も夜を楽しんでいた。

リビングではタイピング音が響いていた。

画面には文字が淀みなく増えていく。

しばらくするとパソコンに向かっていたショウは、長時間同じ体勢で凝り固まっている身体をほぐすように大きく伸びをした。

首を左右に倒し小気味いい音を出していると、背後から抱き締められた。

「先生~終わったぁ?」

「ああ」

熱い吐息を耳に吹きかけてきたのは恋人のツバサだった。

甘えるように頬をすり寄せるツバサの顎下を指先で撫でると、ツバサは目を細め「先生」と唇を寄せる。

ショウは応えるように数回軽く唇を合わせ、ツバサの服装に気づくと小さく首を傾げた。

「その服どうした」

「通販でーす。興奮するでしょう?」

ツバサはその場でくるりと回ってみせる。長めの黒髪がはらりと舞った。

ツバサが着ていたのはナース服だった。

中肉中背のツバサでもピッタリサイズなのは、男性用として販売されている物だからでスカートは太腿までしかない。純白の生地とは正反対の黒いタイツが脚を包んでいた。

「タイツは肌色だぞ」

「こっちのほうがえろいと思って、つうか肌色指定ってほんと?それはそれでえろいんだけど」

「さあ」

「変態先生ですねーいけませんよ?」

ツバサは身を屈め、ショウの太腿にある手に自分の手を重ねた。

「ショウ先生のせいで身体が熱いんです。熱があると思うんですよ、診察してくれませんか?」

「それは大変だ。そこのソファに横になってください」

「はーい」

ショウはソファへ向かう後ろ姿を横目に、文章が保存出来ていることを確認しパソコンの電源を落とした。

*****

ショウは整形外科医だ。

主に身体の運動器官の専門であって、熱があるという患者に内科的診断は出来ない。

それをわかっていて気紛れに「お医者さんごっこ」でツバサはセックスに誘う。

素直にセックスしたいと言えばいいのにとショウは思うが、仕事を自宅に持ち込むことが多く、大変だと気を遣っているが欲深く抑えきれない恋人を可愛く思っていた。

「身体の熱いところはどこですか?」

「胸が熱いです。あと脚も」

「右脚ですか?左脚?」

「んー右の太腿です」

「では胸から触りますよ」

ショウはソファの傍に膝をつき、仰向けになっているツバサの胸元を服の上から擦った。

胸を中心に寄せるよう両手を動かし、今度は脇に流すよう擦る。

「ん、」

何度も同じ動作をすると二つの小さな突起が現れた。

ショウはその突起を親指の腹で押し潰しながら「これのせいで熱くなっているようですね。ほぐすと治ります」と言った。

ツバサは顔を真っ赤にしたが、患者役に徹し口を押さえ堪えるように身体を震わせている。

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