理由もなくもうセックスしないってどういうこと?! (Page 2)
「意味わかんない…」
祐樹から拒絶され一週間経った。
別れないけどセックスしないって、それどころかさわりたくないみたいに。
俺個人が嫌いな理由以外あるのかよ。
幼馴染でも祐樹が何を考えているのかわからなかった。
もうすぐ帰ってくるかと思うと憂鬱になって、袋いっぱいに酒を買い詰めた。
手に取ったものからプルタブを開けていく。
酒に弱い風雅はすぐに酔った。
体温が上昇し頭がぼんやりする感覚が気持ちよく、次々と飲み干した。
テーブルに転がる空き缶が増えていく。
無視されるわけじゃない。ただ一緒にいるのに恋人として過ごせないなんて苦痛だった。
「こうなったら浮気してやる!」
アルコールに浸かった脳味噌は、まともではなかった。
*****
風雅はおぼつかない足取りであてもなく歩いていた。
近所の公園を見つける。
「ちょっと休憩…」
夜で当然人の姿はない。
「冷た…」
ベンチに座った風雅は太腿に触れる冷たさに、酔って熱くなり下着姿になっていたことに気がついた。
上はTシャツを着てるからいい。女子じゃないし恥ずかしくないとぼんやりと思った。
夜だからという理由だけでなく、車も通らない場所にある公園は静かだ。
あまりの静けさに一人取り残されたような気持ちになり、心細く風雅はベンチの上で膝を抱えた。
「祐樹のばか」
祐樹を嫌いになれたら楽になれるのに、気持ちが変えられない。
浮気してみたら変われるかと思った風雅は、相手を見つけるのも面倒になってきた。
それより襲いくる眠気の方に身を委ねたほうが楽な気がした。
「…おい、…おいきみ大丈夫かい?」
身体を軽く揺らされ、意識が遠のいていた風雅は呼びかけに顔を上げる。
そこにはスーツ姿の男性がいた。年は30代だろうか。清潔に短く整えられた髪。心配したように風雅を見ている。
この人ならいいかもしれない。ふとそう思った。
肩に置かれていた男の手は男らしく節くれている。風雅は自分の手を乗せた。
「大丈夫じゃないです…」
「体調が悪いのか?」
「体調は大丈夫です。けど…恋人が冷たくて帰りたくない」
「そうか…」
自然と手を剥がされた。男は立ち去るとおもったが、風雅の隣に座った。
「優しいですね」
「そんなかっこうで外にいたら本当に体調悪くなるよ」
「じゃあ、お兄さんの家に連れて行ってくれませんか?」
風雅はしだれかかり上目遣いを向ける。
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