理由もなくもうセックスしないってどういうこと?! (Page 4)
残された風雅は気まずく俯いた。太腿に落ちた自分の影を見つめる。
「さっきの誰」
「…知らない」
「はっ、じゃあお前から誘ってたのか?」
「それはっ!」
嘲笑う声にムキになり声が荒くなる。顔を上げると無表情の祐樹と目が合った。
「誘ってたんだな」
「…」
言い返す言葉がない。黙っていると祐樹は大きくため息を吐いた。
「どうでもいい。帰るぞ」
「どうでもいい?」
風雅は耳を疑った。
恋人がどこの誰かもわからない相手に、抱かれようとしていたことに興味がないなんて。
「どうでもよくない!怒らないの?」
「帰ってから聞くから」
祐樹は駄々をこねる子供を見ているようだった。
風雅は「帰らない!」というと、公園から出ていこうとベンチから立ち上がる。
「帰らないっていいながら、どこ行こうとしてんだ」
「さっきのお兄さん追いかけるの!」
「は?!意味わかんねぇ」
行動を制止するように腕を掴まれた風雅は、祐樹の言葉にこっちの台詞だと苛立ち、引き剥がそうと祐樹の手を強く掴んだ。
「意味わかんないってなに?!俺の方が意味わからないって思ってる!別れないって言いながらキスすら嫌がられる俺の気持ちわかる?」
「それは」
「わかんないよね?もしかしてただキープされてるだけかもしれないって怖いんだよ」
一気に感情が爆発した風雅は、感情が高ぶったことで頬に流れた涙を空いている手で乱暴に拭った。
次々と流れる涙に祐樹の顔がぼやけて見えず、女々しくて鬱陶しいと思った。
最近のコメント