お姉さんで童貞喪失するはずが、お兄さんになりました。
山田恵(けい)、二十四歳、大学院生。ちなみにまだ童貞。これではいけないと思い、出会い系アプリに手を出し、お姉さんで童貞喪失するはずだった。しかし現われたのは警察官のお兄さん。話を聞きたいと言われ、連れていかれた場所は何故かラブホテルで…?
山田恵(けい)、二十四歳、大学院生。ちなみにまだ童貞である。
さすがにこの歳で童貞とか痛いだろう、ということで出会い系アプリを利用して待ち合わせをしてしまった。もちろん目的はヤること。
「三十分も過ぎてしまった…」
やはり童貞の雰囲気丸出しだっただろうか。街のシンボルの像、ペンギン像の前で待ち合わせたけれど、紺色のジャケットを羽織った女性らしき人はいない。
「はぁ…」
やはり、出会い系アプリでこの俺が童貞を捨てようなんて、百年早かったか。まあ、とりあえずもう少し待ってみることにする。このあとの予定なんてないし。
「こんばんは。君は未成年かな?」
「えっ? 違います…」
気づけは時計の針は十時三十分を指していた。声をかけてきた男性が警察官の制服だったので、ものすごく動揺してしまった。
「本当かな? 十代にみえるけど。もし嘘をついているなら、今帰れば見逃してあげるけど」
「違いますっ! めっちゃ成人してます、えっと…身分証っ…。あった、ほらっ!」
慌てて学生証を出して証明した。でもこの警察官に声を掛けられたことで理解した。未成年に見えるのか…俺は。
「二十四歳…これは失礼しました。てっきり子供かと」
ところで子供に…高校生に見えたとしても、十時半が門限だっただろうが? まあ、成人だと証明できたからどうでもいいけれど。
「はぁ…」
未成年に見られていたのなら、相手の女性は絶対現れない。しかも今警察官に声かけられてるし。そこらへんぶらぶらして、買い物して、一人寂しく遅めの夕食を食べることにしよう。
「成人なら、お聞きしたいことが。あちらでお話お伺いしてもよろしいでしょうか」
「えっ? はい…」
なにがなんだかよくわからないが、特に用事もない俺はあっさり付いていってしまった。
*****
「えっ? なんで」
警察官に連れていかれたのは、男性同士でもOKなラブホだった。初めてのラブホにソワソワしてしまい、あきらかにおかしい状況に、部屋に入ってから気づいてしまった。
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