キス魔の弟が俺と彼を出逢わせた (Page 2)
弟の彼氏、湊(みなと)くんに連れられて、高級ホテルのレストランに連れられた。
個室に案内され、湊くんはすぐに料理を注文する。
ってかそれよりも手持ちで払える気がしないっていうか…。
「あ、あの湊くん」
「支払いはいいよ、気にしないで」
「いや、そういうわけには!」
年下の、それも弟の彼氏に払わせるなんてできるわけない。
あたふたとする俺に、湊くんはグラスを置きながら笑った。
「ならさ、抱かせてよ」
「…はい? 抱かせ…え?」
湊くんは音をたてながら椅子から立ち上がり、俺の近くに来ると頬を撫でた。
そしてカツキとキスをしていたときと同じ目をする。
「おにーさん、ダメだよ。こういうところに簡単についてきちゃ」
「…みな、湊くん?」
退路をふさぐように、湊くんは俺に覆いかぶさる。そして長いまつげをふせながら顔を近づけた。
ちゅっ…とリップ音をたてながら重なる唇に、俺の思考はフリーズする。
ただ重なるだけの唇は深くなることなく、またリップ音をたてて離れる。
「おにーさん可愛いから、こうやって食べちゃうよ」
可愛らしいと思っていた湊くんの顔が今は男の顔をしていた。
「湊くんはカツキの彼氏だよね…?」
「付き合ってないよ」
「どういうこと…?」
「どうって? そのまんまの意味だよ?」
じゃああのキスはなんだったんだ。
まさかセフレ…? いや、カツキに限ってそれはない。
「ごめん、帰るね。お金はあとでちゃんと残りの分を払うから」
財布を取り出して、お札を抜き取る。
だけどその手を湊くんにつかまれた。
「払わなくていいって」
「こういう方法で男を捕まえるのはやめなさい。体で払わせるなんて真似は…、君はカツキの恋人なんだ」
「カツキと僕がいつ付き合ってるなんて言ったの?」
「それは公園で…」
「キスシーン見たくらいで勘違いしないでくれる? アイツ、酔ってキス魔になるって知らないの?」
「…きすま?」
いや、でもあれは湊くんのほうがカツキに強請っていた。
酔ってキスなんてされたこと…、ってかアイツはお酒なんて飲まない。
「俺が好きなのはおにーさ…、ミツキさんだから」
「…は?」
「意識すればいいなーって思って、ミツキさんを挑発するようにカツキに腕をまわしたの」
「どういうこと? 湊くんに好かれる理由なんてないんだけど…」
会ったことないし、カツキの友人だってことも知らなかったし。
「カツキに毎日のように写真を見せられて、のろけのようにミツキさんの話をされれば気にもなるよ」
「ちょっ、写真? のろけ?」
「カツキはブラコンだから、おにーさん大好きなの」
湊くんは俺の首筋を人差し指でなぞり、指先であごをクイッとあげた。
「みな、と…くん」
「食事は付き合って。食事が終わったら帰ってもいいから」
それから料理が運ばれてきて、豪華な食事をした。
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