ハタチノヒノヨルキミト… (Page 6)
目の前のトモキの動きに合わせて揺れている、ネクタイがどうにも目について、タイチは片手を伸ばすとそのネクタイをスルリと外してやった。それでも真っ白いシャツの存在が邪魔に思えて、ボタンを外してみたら、カァッとトモキは全身を赤く染めた。
「な…っぁん、に、してんの、タイチ」
「や…だって、なんか、脱がしたくなって…」
「脱がしても、おっぱいもなにもないだろ。目つむっててよ。俺のこと見て、萎えられると凹むから」
「なに言ってんのお前」
トモキの口淫で完全に勃起して、トモキの仕草に興奮させられて、トモキの喘ぎ声にさえ性欲を煽られて、どうして今さら萎えることがあるというのだろうか。
不安気な色をみせるトモキに笑って、タイチは彼の腰を両手でガシッと支えると、下からズンっと強く突き上げた。
「ひゃぁっ――」
ビクッと体を跳ねさせたトモキに、タイチは彼のナカに挿入っている自身の存在をしらしめるように腰でグルリと円を描く。
「こんななってんの、どうやって萎えんの?」
「ぁ…タイチ、」
照れくさそうにはにかんでから、トモキは再び腰を揺らしだした。
「はっあっあんっ、ああっ、タイチ、俺、もうイキそ…」
気が付けば車の窓は、真っ白に曇っていて、2人の身体は真冬なのに汗だくになっていた。ぼんやりとした薄暗い視界の中でも、トモキの頬が紅潮しているのはわかって、タイチも自分の限界がすぐそこにきているのを感じた。
「んっ…オレ、もイク…から、一緒…に」
無意識にそう口走っていて、けれど、それを訂正する気すらタイチはおきなかった。
「あっああっんん――っ!」
「っ…――」
情事特有の音と匂いが充満した車内で、2人は獣のように、激しく乱れながら、互いの欲を開放した。
車内のデジタル時計は深夜2時を回っていて、疲れと眠気が一気におそってくるのがわかった。曇りで真っ白になっている窓の向こうに、モザイクをかけられたみたいなシルエットでたたずんでいる正門が見えた。
グシャグシャになったスーツを取ってつけたみたいに着て、トモキは「送るよ」と小さく言った。タイチもどうやって直したらいいのかわからないぐらいグチャグチャになったはかまを、とりあえず襟を正して腰のヒモを結ぶと、ふぅと脱力して目を閉じた。
なにかが変わるのか、どうなるかもわからないまま、静かに車は発進した。
Fin.
ハタチノヒノヨルキミト
モダモダする
みやび先生の影あるとこも、世知辛いとこも、青いとこも、好きです
コロコロ さん 2021年4月7日