君が書くメロディはいつも僕へのラブソング (Page 4)
ゆっくりと動かされる腰に俺は、ビクッビクッっと反応する。
「あっっ…んふっ…敦っ…んぁっ…」
「その声っ…やっぱりっ…俺の書いた音程でっ…合ってるなっ…」
「んはっ…そんなのっ…しらにゃいっ…!!」
ジュブッ…ジュブッ…と卑猥な音と、俺たちの艶めかしい声だけが、練習室に響く。
敦が、俺を愛撫しているときは俺がピアノみたいな感覚だったが、今はヴァイオリンの感覚に陥っている。
敦が弦(げん)で俺が楽器。敦は男根という弦によって俺を奏でているのだ。
「芳樹…俺の曲を弾いてくれ…俺を知ってるお前だからこそっ…俺の曲は完成するんだっ…」
「んぁっっ…あれでっ…完成じゃないのっ…んはっ…」
「芳樹の指で、感覚で完成されるっ…俺の気持ちを弾いてくれっ…」
敦の熱い気持ち、体からも心からも伝わってくる。もし、断れば俺は後悔するだろう。演奏家としても、恋人としても。
「わかったっ…敦のっ…弾くっ…だからっ…敦っ…」
「俺の愛を注ぎ込んでやるっ…受け取ってくれっ…」
俺は、その瞬間果ててしまった。俺の吐き出した白濁の液は黒いグランドピアノの足を汚した。
同時に敦も俺の中で愛欲を吐き出し、俺に自分の思いとともに熱いものを刷り込ませた。
*****
1か月後のコンサートの本番。俺は、敦の曲を弾いている。
その曲は、俺の手でより一層艶めかしく、熱く、心に響く作品となっていた。
曲が終わると、観客は一瞬静かになり、どこからともなく拍手が聞こえ、最終的にはアンコールをされたのだった。
舞台袖に下がると、そこには敦の姿がいた。
「すっごく興奮した…今夜は俺の部屋で祝賀会な?」
「っ!!調子に乗るなっ!」
「アンコールの準備ができました。よろしくお願いします」
誰にも聞かれないように小声でやり取りをしていると、俺は舞台に呼ばれた。
「行ってこい。俺の曲は芳樹のものなんだから」
俺は、敦に背中を押され舞台に上がった。そして、最高の演奏をして最後のコンサートが幕を閉じた。
Fin.
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