イケないふたり (Page 3)

「…っ、あぁ！だめ…っ！」

「兄ちゃん…っ」

頭がぼーっとする。兄ちゃんの内壁が、俺のモノに絡みついて離さない。
奥へ奥へと俺を引き込むようにうごめいていく。
男とするのは初めてだったけど、不思議と嫌じゃない。
女の子とするときとはまた違う、背徳感と、快感。

「…痛くない…っ？」

俺の問いかけに、こくこくと頷く。その姿すら、なんだか子どものようで愛おしい。
しがみつくように背中に回された腕の力が、少しだけ強くなる。
それをあやすように、その柔らかい髪の毛をそっと撫でてやった。

リビングに響く、二人の吐息と兄ちゃんの甘い声。
眼前には、熱に浮かされた兄貴。そして、欲望のままにその中を突き上げる自分。
今まで考えたこともなかった光景が、日常の風景の中に広がっている。

「…もっと、もっと…っ」

「なに、奥？」

うわごとのように繰り返す兄ちゃんの腰を引き寄せて、奥の奥を思いっきり突き上げる。
真っ白な喉が反らされて、甘い嬌声が部屋中に響く。
少しだけ伸びた爪先が、俺の背中を引っかいて傷を作っていく。
今日のことを忘れないように、たった一回の過ちにならないように。
小さな痛みが、心にまで響いた気がした。

「…おっき、い…！やば…いって、もう…！」

「イキたい…？」

「はやく、はやく…っ！イカせてぇ…っ！」

ああ、もう駄目かもしれない。
弟のモノを欲しがって喘ぐ兄貴も、そんな兄貴を見て反応してしまっている弟も。
もうとっくに、快感に溺れてしまっている。

兄ちゃんの尻を抱えて、そのまま一気に腰を下ろさせた。
体重の分、深く深くまでくわえ込まれて、ひときわ高い声がこぼれる。

「雄大の…っ、中に出して…ぇ！」

「兄ちゃん…っ」

「あ、ぁ！ダメ…ぇ、イく…っ！」

イっていいよ、って耳元で囁いた瞬間。びくびくと兄ちゃんの体が跳ねる。
その締め付けで、俺もその中に白濁を吐き出した。
ぶるりと肩を震わせながら、まだヒクつく体内に最後の一滴までを注ぎ込んでやる。

「…雄大…っ」

「なに…」

荒くなった息を整えながら、兄ちゃんが俺の名前を呼ぶ。
不意に頭を撫でられて、なんだかくすぐったいような気分。

「…もう１回だけ、ダメ…？」

「１回だけじゃないんかい」

「いいやん、一生のお願い」

「それ、何回も聞いたことあるやつ」

互いに見合わせて、思わず噴き出した。
兄と弟。これからも、きっとずっと変わらない。
たとえ離れていたって、大丈夫だ。

「明日の朝まで、寝ずにする？」

「あほか、性欲モンスター」

「兄ちゃんには言われたくないわ」

軽口をたたく口は、唇で塞いで。
明日の朝まで、ゆっくり楽しませてもらおうじゃないか。

「俺も、兄ちゃんも、同罪やから」

二人で、一緒に堕ちていこう。
そう誓う代わりに、もう一度その体を押し倒した。

Fin.