初めての夜 (Page 2)
「はー、めっちゃうまかった」
「ね、ビュッフェじゃなくても大満足だわ」
大満足の食事を終えて、二人エレベーターに乗り込んだ。
シュンは酒のせいもあって少しだけ上機嫌なように見える。
「よかったよ、シュンも満足してくれて」
「うん、ほんと来てよかった。ありがとな、予約とかしてくれてホント助かったよ」
そんな話をしながら、部屋のドアを開ける。
大きめのソファーに二人座り込んで、どちらからともなく、肩を寄せ合った。
「…お風呂、入る…?」
「ん…あー、もうちょい、このまま」
シュンの頭が、俺の肩に乗せられる。
重い、って突っぱねたいところだけど、今日はこのまま。
ぎゅっと手を握ったら、同じくらいの力で握り返される。
「…シュン…」
「…リョウ、先に風呂入る?」
そう問われて、俺は首を横に振る。
シュンの瞳をじっと見つめて、俺はゆっくりと口を開いた。
「なんで別々に入るの」
「…え?」
「こんなとこまで来て、別々に入るとか…なくない?」
シュンの表情をうかがってみたいけど、恥ずかしさで顔をあげることができない。
断られたらどうしようなんて今さら考えてみるけど、時すでに遅し、ってやつだ。
「いいよ、一緒に入ろ」
優しい声色で、シュンがそう言う。
肩をそっと抱き寄せられて、そのまま抱きしめられる。
「…シュン」
「ていうか、それってさー…」
耳元に唇が寄せられて、そのまま耳たぶを甘噛みされる。
びくりと肩が跳ねて、ああもう、こんなことされる余裕すらない。
「誘ってるって、ことだよね」
顎をつかまれて、シュンのほうを向かされる。
大きな瞳が俺をとらえて、目を逸らすことも許されない。
こくりと頷くと、額にそっとキスを落とされる。
そして手を引かれるまま、俺たちは浴室へと向かった。
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