欲望が満たされる日を望んで (Page 4)
なけなしの理性を残したまま、大翔は根元まで挿入していた指をズルリと抜いた。
「ひあぁっ…!」
緩急さを持つ鮮烈な刺激に、とうとう清太の体から半身を支える力が消失した。
伸びをする猫のように、突き上がっていた裸の下腹部がベタリと床に着く。
そこは何度も吐き出された精液と、己の潤滑剤が混ざっている水たまり。
「うぁぁっ!」
粘りと冷たさを含む湿りが、下腹部から全身へ官能を俊敏に巡らせた。
神経を直に撫でるような強烈なそれは、今の清太には拷問でしかなかった。
(まさか、この男のために使うことになるとは)
人生は何が起こるかわからない。
そう思いながら、大翔はパンツのポケットからコンドームを取り出した。
必ず常に1つは携帯するそれは、アルファである彼なりの防衛本能。
袋をピリッと破り、パンツのファスナーを下ろして股間の肉塊を取り出した。
相手を服従させたいアルファの本能。
そして、発情する清太の乱れ姿。
今までにないくらい、それらは大翔の肉を硬く熱くさせた。
ピクピクと青筋を立てて天を仰ぐ怒張を、薄いゴムを被せてオイルや己の体液をなじませる。
外れないようゴムと肉を密着させると、時折うねる腰をがっちり掴んで体勢を戻した。
度を越した官能に体力を使い切ったのか。
もしもの話、アルファの大翔を受け入れる覚悟ができたのか。
彼が拘束する体が暴れる様子はなかった。
大翔は亀頭部で尻肉を撫でる。
避妊具越しでも認識可能な弾力と柔らかさ、筋肉の僅かな硬さ。
ベータの女にはない淫靡な感触に、肉棒が破れる寸前までゴムを押し上げる。
「っ…!」
甘美な熱が大翔の全身に、痺れに似たとろけるような感覚を与える。
「ひぁっ…!」
まるで大翔の快感が同調したように、清太も全身をビクリと震わせた。
指で位置を把握していたからか、鈴口がトロトロの結合部に触れたのはすぐだった。
(これから、この男を犯す)
緊張感や高揚感のせいか。
下半身をうずかせ鼓動を乱しながら、腰を進めようとした時だ。
「待て」
低く落ち着いた清太の声が、大翔の動きを止めた。
「…これから先、お前の番になるつもりはないっ」
その声に含まれるのは、発情期の甘いかすれや熱ではなかった。
「だが今だけは潔く、お前の支配下に入る」
どんなアルファやベータの手にも落ちない強固な意地やプライド。
こんな状況でも、鋼のような硬い理性を残す清太。
「オレだってゴメンだ。アンタの一生を背負うなんて。でも…」
(いつかは振り向かせてやりたい)
そんな彼に大翔は純情な征服欲を抱いた。
「今だけは理性をつなげてやる」
そして、止めていた腰を進めた。
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