太陽と月 (Page 5)

「あ…ああっ、な、なに、これぇ…っ」

タクマが指を上下に動かせば、リョウはイヤイヤと首をふりながらよがる。

「リョウ、お前、後ろ触ったことあんの?」

「あるわけないだろっ…てか、タクマはなんでっ…こういうコト、したことあんの?」

「…さぁ。どうだったっけな」

「ひゃっああっ!激しく、しないでっ…」

あるなんて、言えるはずもなかった。
誤魔化すみたいにリョウのナカを指でかき回してやれば、ビクビクッと今にも達しそうに太ももが震えだしたのでタクマは指を抜いた。

ズボンと下着を脱ごうとしたところで、タクマはハッとする。自身がしっかりと勃起しているのだ。
ここしばらく、気持ちの入らない汚れた行為ばかりだったから、タクマはいつも、元気のない自身を自分の手で扱いて無理矢理勃起させていた。それが今は、早く貫きたいとばかりに、自身はしっかりと勃ちあがっている。

「最低だな、俺」

保湿クリームと粘液でテラテラと濡れた指を自身に塗りつけて、タクマはリョウの孔へとソレをグチリとあてた。

こんなことをしたかったわけじゃないのに。
汚い大人の手に触れさせたくなくて、守っていたはずなのに。

ググッと腰を落としていけば、拒むような圧迫感。

「は…あ、タク…マ、手、握って…」

リレーのバトンパスなら確実に取りそこねるぞ、と言いたくなるぐらいに弱々しく震えた手が差しだされる。

ごめん…

心の中で呟いてその手を握れば、それに応えるように汗ばんだ手がキュッと握りかえしてきた。

あの日、初めて自分を売った夜をタクマは思いだした。
夜空に浮かぶ満月が不気味に青白く光って浮かび上がっていたことを。
太陽の光をかりて輝こうとしても、太陽にはなれない。
けれどそれでよかった。
太陽がより輝くために月になろうと、あの夜にタクマは決めたのだ。

自分を汚そうとしているヤツの手を、優しく握りかえしてくれる、リョウは確かに太陽だった。

「あっ…ああっん…」

手を握ったまま、腰を打ちつければ、リョウは髪を振り乱しながら喘いだ。
リョウはうつ伏せで力なく身体を床につけている。そのせいで、タクマがピストンするたび前が床にこすれるのだろう。このままじゃ床に扱かれてリョウが達してしまうと思うと、どうにもそれは嫌で、タクマは床とリョウの身体の間に片腕を滑りこませると、ヌルヌルと濡れているリョウの自身を握った。ソコが触れていた床にはすでに先走りの欲が広がっていた。

「あっ…や、タクマ、ダメ、もう、もうこれ以上するとイッちゃう…っ」

「いいよ。イッてよ」

「はっああっんっ…」

「俺に扱かれて、後ろも犯されながら、イって」

汚したかったのか。
許されたかったのか。

ただハッキリとタクマのなかでわかったことは――

「俺の手でイってよ」

自分以外のナニモノにも、リョウに触れさせたくないという、激しい独占欲。

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