君を手に入れるために僕が犯した罪についての記録
人気絶頂のアイドルグループに所属する、アオイとアカネ。アオイはアカネにずっと片思いをしているが、その思いはなかなか届かない。ある日アオイが帰ろうとすると、誰もいなくなった楽屋でアカネとヒカルがキスをしているのを見かけてしまう。嫉妬に狂ったアオイは、次の日ヒカルをホテルに呼び出して…
ベッドが、軋む。
二人の男を乗せたそれは、ギシギシと音をたててスプリングを跳ねさせる。
「…アオイ…っ、やだって…っ!」
「嫌じゃないでしょ?…ヒカルの、俺の中で…っ、すっごく大きくなってる…ッ」
「…ひ…ぃ…っ、うそだ…っ!」
苦しそうに顔をゆがめるヒカル。だけど、許してなんかやらないし、止めてなんかやらない。
これは、俺からアカネを奪った罰なんだから。
ヒカルの上に乗って、大きく腰を揺らす。
拒絶する言葉とは裏腹。
結合部からはじゅぶじゅぶと水音が響いていて、ヒカルが先走りの液を漏らしているのがわかる。
「結局、ヒカルって…誰でもイイってことだよね、俺の中でも気持ちよくなってるし」
「違う…っ、違うってば…っ、あぁ…っ!」
腰の動きはそのままに、すでに大きく膨れ上がっているヒカルの胸の突起を爪の先で引っかいてやる。
そのたびにヒカルの白い喉が大きく反らされて、思わず笑みがこぼれる。
「…こんなんじゃ、許さないから」
耳元でそう囁くと、ヒカルは覚悟を決めたかのように、ごくりと生唾を飲み込んだ。
*****
昔から、欲しいものは手に入れないと気が済まない性格だった。
おもちゃも、本も、食べ物も。好きな人だって、そうだ。
大抵のモノは、俺がねだれば何でも手に入った。
それなのに、唯一手に入らないものがある。それが、アカネだった。
どんなに好きだといっても、俺になびかない。
いつも適当にかわされてしまって、その先にたどり着けない。
きっと俺の気持ちに気づいているはずなのに、アカネは俺を“そういう目”で見ない。
それなのに、昨日の帰り道。
スタジオの外に出ようとした直前、忘れ物を思い出して楽屋へと戻った。
そしてそこで見たのは、楽屋の壁にもたれかかってキスをしている、ヒカルとアカネの姿だった。
どうして、どうして。
そんな気持ちを抑えられないまま、俺はその場を後にした。
悲しい、いや、そんなんじゃない。
悔しい、いや、それよりももっと、濁った感情に近い。
妬み、嫉み。そして、やり場のない怒りだけが、俺の頭を支配していた。
今までそんな素振り、一つも見せなかったくせに。
今まで、俺には見向きもしなかったくせに。
今まで、俺のことを応援するとか、無責任なこと言ってたくせに。
大切な仲間だと思っていた二人に、一気に裏切られたような、そんな感覚。
「…絶対に、許さない」
二人して、俺を笑ってたんだろう。
俺たちは付き合ってるのに、アオイだけ本気になっちゃって、バカみたいだよねって。
俺に隠れて、あざ笑ってたんだろう。
ぐるぐると考えを巡らせるけれど、怒り以外の感情は出てこない。
そして、気づいたときには、ヒカルにメールを送っていた。
『話したいことがあるから、明日の仕事終わったら〇〇に来れる?』
数分経ってすぐ、ヒカルからの返信。
『わかった、何だろ。楽しみにしとく!』
バカな男だ、心の底からそう思った。
話したいことなんかない。だけど、言っておかなきゃいけないことがある。
アカネは、誰にも渡さない、って。
ヒカルでもわかるように、ちゃんと教え込まなくちゃ。
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