君を手に入れるために僕が犯した罪についての記録 (Page 2)
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「話って、なに。ていうか、ホテルじゃなくても個室の居酒屋とかでよくない?」
「いいじゃん別に。外で週刊誌とかに見つかったらめんどくさいし」
「…まぁ、そうだけど」
窓からはきらきらと輝く夜景が見える、最高級ホテルのスイートルーム。
こんなことに使うのは、もったいないくらいの最高なシチュエーションだ。
「すげー、めっちゃきれいじゃん。なんでこんなとこ予約してくれたの」
「…ヒカル好きそうだなって。こういう女子が喜びそうなところ」
「なんだよそれ、人が女々しいみたいな言い方」
ルームサービスのシャンパン片手に、ヒカルが笑う。
ああ、本当にのん気なやつ。そんなにうれしそうな顔しちゃって、バカみたい。
そんなことを思いながら、窓際に立ったヒカルの後ろから、そっと腕を回した。
「…アオイ…?」
「ヒカルさ…俺になんか言うことないの」
「…や…なんもないけど」
ヒカルがそっと、俺の手を払う。
目を合わせないあたり、やましいことがあるんだろう。
「…俺、昨日見ちゃったんだよね」
「え…」
「ヒカルと、アカネがキスしてるところ」
払われた腕を取って、ぎゅっと力を込める。
一瞬目が合って、その瞳が揺れているのがわかった。
「…いや…あれは、誤解で…」
「何が誤解なの?俺はアカネのこと好きだって知ってて、よくもあんなことできたね」
「違う、そうじゃなくて」
「二人して俺のこと笑ってたんだろ、バカだなって」
勢いよく突き飛ばすと、ヒカルがベッドに倒れ込む。
その上に馬乗りになって、その顔をゆっくりと見下ろしてやる。
「どうだった?メンバーの好きな人を奪う気分は」
「…違うんだって、アオイ、話聞けよ」
「何が違うんだよ!どういう事情があろうと、昨日俺が見たのは事実だろ!」
「…っ…!」
二人の間に、沈黙が流れる。
黙りこくったヒカルの胸ぐらをつかんで、ぐっと顔を近づけてやる。
「お前らが一番嫌がること、今からしてやるよ」
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「…っ、アオイ…っ」
「ヒカルって、そんな声も出せるんじゃん」
はだけさせたシャツは、ヒカルの汗がじんわりと滲みはじめていた。
首筋から胸にかけて、舌先を這わせる。
胸の突起を強く吸い上げたら、ヒカルが苦しげな表情を浮かべた。
ヒカルのことなんて、別に好きなんかじゃない。
仕事の仲間、グループのメンバー、ただそれだけ。
ただ、どうしても許せなかった。
俺の気持ちを知っていて、アカネに手を出すなんて、許せなかった。
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