ドロドロにとろけて
いつものように大学の休講日にアヤは牧(まき)の部屋で過ごしていた。いつものようにマンガを読むアヤと、いつものように女装をする牧。しかし突然、女装をした牧に『キスしよ』と言われる。いつもと変わらない日常が、キスをきっかけにいつも通りじゃなくなり、『ドロドロにとかすから』と言われたアヤは牧に組み敷かれる。
「アヤちゃん、キスしよ」
大学の休講日、僕の部屋のベッドでマンガを読む幼馴染のアヤに僕は声をかけた。
マンガ本からあがったアヤの視線が僕をじっと見る。
いつものようにメイクをして、いつものように可愛いワンピースを着た僕を舐めるように頭のてっぺんから足の先まで見てきた。
『キスしよ』と言ったからか、最後にはグロスが塗られた唇をじっと見られる。
「…は?」
そして当然のように嫌な顔をされた。
それくらい予想通り。
アヤは女の子が好きだから、アヤよりも大きくて男の僕になんか興味がない。
でも今日は本気。
ギシギシと音をたてながらアヤの乗るベッドにあがる。
アヤの膝にまたがりながら顔を近づけると、彼はあごを引いた。
スカートのレースがくすぐったかったのか、アヤが身をよじる。
その一瞬を僕は見逃さなかった。
顔の角度をななめにしてアヤの唇に自分の唇を押し当てる。
可愛らしくチュッと音をたててくっつけると、アヤの唇にグロスを移すようにキスをした。
「んっ…」
ベタッとする感触に嫌気がさしたのか、アヤの眉がピクリと動く。
その様子に唇を離すと、見るからにアヤは安堵の息をついた。
すぐさま僕は唇を半開きにして、もう一度アヤにキスをする。
「んっ…!?」
ちろっ…と舌の先端でアヤの唇をなぞるとアヤは無意識に唇を開いてくれた。
「まっ…ま、きッ、あっ」
「ん」
「ふぁ…や、んんっ!」
アヤにキスをするのは、幼馴染で女装をする変わった僕。
アヤの隣に立ちたくて女の子になりたくて始めた格好。
こうすればアヤに選んでもらえると思った。
けれどやっぱり性別が違う以上、アヤは僕をそういう目で見てはくれない。
「アヤ、口もっと開けて」
「ふぇ…? あっ、ん!」
さらに深まったキスに、アヤは持っていた本を手放した。
「ふぅんっ…や、んんっあ」
チュッチュッとアヤとキスをする音が耳に響く。
アヤの口の中は甘くてやわらかくて、気持ちがいい。
上あごをなぞれば感じてくれてるのか、身体がビクビクとした。
「んんっ!」
そのたびにアヤの手が僕の腕にしがみつく。
それすらも愛おしくて、もっとしてみたくなった。
「ん…ん、んんっ…ふぅあ…んぁ」
アヤの奥歯を舌先で撫で、そのまま舌の根本をべろりと舐め上げた。
ピクッビクッとアヤの身体が跳ねる度に、心も身体も興奮に支配される。
アヤの舌に吸い付き、自分の口内に引っ張るとアヤは瞳を潤ませて声を零した。
「あぅ…や、ら…やら…」
「んー?」
「ひぅ…んん、やら、こえ、やらぁ…!」
舌を引っ張られ、正しく発音できないアヤ。
そんなアヤの舌を僕は軽く甘噛みした。
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