ドロドロにとろけて (Page 2)
自分の思うままキスを続けていると、アヤはとうとう涙をボロボロと零した。
舌を開放すると、荒く呼吸をしながらアヤはくったりと僕に寄りかかる。
しゃっくりをあげながら肩を震わせるアヤをぎゅっと抱きしめた。
「アヤちゃん」
「…牧のバカ」
「アヤちゃんが悪いんだよ」
「なにが」
「マンガばっかで僕を見ないから」
可愛い自分を見てほしい。
だから僕は女装をする。
アヤの好きな可愛い女の子になれば、アヤの隣に立てると思っていたから。
だけど、アヤはいっこうに僕を見てくれない。
見慣れれば見慣れるほど、この姿になにも言わなくなる。
だから、と僕は話した。
するとアヤは僕を見上げて、ふわふわに巻かれた髪を指ですいた。
「牧は可愛いよ。いつもそう思ってる」
突然に言われた言葉に、自分でもわかるくらい顔が真っ赤になるのを感じた。
「なっ…もう、急に男になんないでよ」
「生まれたときから男なんですけど」
「さっきは可愛い女の子だった」
「こんな格好してんだから、女に間違われんのは牧のほうだろ」
文句を言いながら、僕の首にアヤの腕が伸びてくる。
なにをされるのか。
期待と不安が胸をよぎる。
「アヤちゃ…、ん」
アヤの手に後頭部を引き寄せられ、唇が湿ったなにかに重なった。
それは先ほどまで散々、僕がアヤにやっていたこと。
でもアヤにされるなんて、少しも想像していなかった。
触れるだけのキスをしたあと、アヤは自分の唇を指先でなぞって僕の肩に額を押し付ける。
「アヤちゃん、なんでキス…したの?」
「お前だってしたじゃん」
「そ、れは…僕を無視するから」
「本当にそれだけか?」
上目遣いをしながら、アヤは僕に問いかける。
それだけで彼が僕の好意に気づいていたことが明確だった。
その問いに首を左右に振って、震えながら言葉をつむぐ。
「すき、だから」
「ん」
「アヤちゃん、好き」
「俺もだよ、牧」
「え、そうな…」
「ウソ」
それは息をするように吐かれた嘘。
一瞬で期待して一瞬で落とされた。
「なっ…もう!」
勢いに任せてアヤを押し倒し、むすっとした顔のまま額をこつんっとぶつける。
「アヤちゃん、そういうウソは酷い」
「俺のマンガ時間を邪魔したバツ」
「なっ…アヤちゃんのばかっ!」
アヤのシャツの中に手を忍ばせ、スベスベの肌を指先で撫でた。
もうこうなったら、少しでも僕の気持ちをわからせるしかない。
「悪い子アヤちゃんにはお仕置きが必要みたいだね」
「仕置きなんかできんの?」
アヤはそう言って、またがる僕の下半身に手を伸ばす。
スカートを持ち上げると突起物に触れられ、僕の身体が震えた。
「ひぅ…!」
「可愛い声」
「アヤちゃん! 本当に調子に乗ってると──」
「どうなんの?」
「ッ…!」
アヤの挑発的するような笑みに、僕はアヤの手首をつかんでベッドに押し付ける。
「ドロドロにとかすから、覚悟して」
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