泡沫(うたかた)のたわむれ (Page 4)
ちゅぷ…と、たかぶった僕の先端にマリクの後孔が触れた。
熱く、吸い付いてくるその感触は、尾ビレで扱かれていたときよりもさらに強い快感を連れてくるような気がした。
奥まで突き上げてしまいたい衝動に、無意識に腰が浮いた。
マリクは、はぁ…と甘い吐息をもらし、僕に顔を近づけてきた。
「ノア、俺のナカに挿入って…」
呪文のような囁きと口づけが降ってくる。
ふわりと甘い香りが鼻腔に広がった。
それは僕の意思だったのか、操られていたのか。
マリクのキスを受け止めながら、僕は彼のナカを強く貫いていた。
「んっ…ふ、んんん――!」
鈴口も、竿も、そのすべてに一様に舌がはっているような、全部に吸いつかれているような、強い快感が自身を包んでいた。
マリクのナカに挿入っているはずなのに、僕のナカにマリクが挿入ってきているような、妙な気分で、僕の口からは喘ぎ声が出ていた。
「ふっ…んんっ、ふひゃ…んっんっんぁっ」
塞がれた唇の端から我慢できずに漏れた声は、まるで自分じゃないみたいで。
自分がどうなってるかもわからなかった。
その快感が怖くて、すがるように伸ばした手は、ガシリとマリクの力強い手に握られた。
「ノア、俺を信じて――」
返事のかわりにマリクの手を握り返せば、それを合図みたいマリクは激しく腰を上下しだした。
その勢いで重なっていた唇が離れた。
「あっあ、あっああ…」
じゅぷじゅぷ、といやらしい音が砂浜に響く。
限界まで勃起してる僕の雄が、マリクのナカで彼の動くままに快感を与えられていた。
ジンジンと痛むぐらいに欲を詰め込んだ袋は限界がすぐそこだと、教えていた。
「ああ、ノアっ…俺のナカにっ…」
その言葉を合図に僕はマリクのナカで欲を解放した。
頭の中が沸騰しそうなほど熱くなって、全身はビリビリと激しく痺れた。
その瞬間、パチンッと頭の中で何かが弾けるような音がして、僕は意識を手放した。
*****
ザパァ…
「ん…」
顔面に海水を浴びて、僕は目を開けた。
僕は波打ち際に1人で横たわっていて、寄せてきた波を顔に浴びていた。
「マリク!!」
ハッとして起き上がり辺りをキョロキョロ見回しても、砂浜以外になにもない。
空には太陽がのぼり、雲ひとつない晴天が広がっていた。
僕は濡れた衣服を身にまとっていて、溶けたはずのズボンも下着もちゃんと戻っている。
「夢?」
夢にしてしまうにはあまりにリアルで、全身が訴える倦怠感は事後特有のものだった。
わけがわからず、とりあえず立ち上がろうとしたときに手になにか持っていることに気づく。
それは、藍色に輝いた1枚のうろこだった。
空にかざしてみれば、キラリと虹色に輝いた。
夢じゃないのなら、また会えるだろうか…。
1枚だけ残されたうろこをそうっとポケットにしまった。
Fin.
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