再会の日に (Page 2)

「…颯斗には関係ない」
「関係ある、友達だろ」
「…友達なんかじゃない、俺にとっては」

颯斗の表情が、少しだけ曇ったような気がした。
だけど、もう元には戻れない。俺はあのころの俺とは、違う人間なんだ。

「俺だって…ただの友達なら、こんなことしねーよ」

颯斗が、小さな声でそう呟く。
思わず聞き返すと、代わりに深いキスが降ってきた。

「…んん…っ、颯斗…ッ」
「ただの友達なら、こんなに執着しない」

一度唇が離れたと思ったら、また深いキス。
舌に強く吸い付かれて、うまく呼吸ができない。

颯斗が俺の首筋に顔を埋める。
薄い皮膚に噛みつかれて、まるで電流が流れるような感覚が体の中を駆け巡る。

「…っ、ちょっと…痕は、だめ…ッ」
「こんな痕でもつけとかないと、辞められないだろ」
「な…っ?!」
「今の彼氏が独占欲強くて、って。辞める理由には十分なんじゃない?」

今度は鎖骨にチリチリとした痛みが走る。
ああ、また痕をつけられてしまったのだろうか。
この体は、大事な売り物だ。他の客なら蹴り飛ばして帰るような場面だっていうのに。
颯斗を目の前にしたら、抵抗することすらできない。

「…っ、は…ァ」
「今まで、どんな男に触られた?」
「そんなの…っ、いちいち覚えてねぇよ…ッ」

覚えているわけない。だって、この仕事を始めてからずっと。
行為中は、ほとんど目を閉じていた。

目を閉じて、まぶたの裏にはいつも颯斗を思い浮かべてセックスしていた。
そうすれば、不思議と感じることができたし、素直に声を出すことも、どんな要求に応えることもできた。

なのに、今こうして本人を目の前にしたら。
恥ずかしさで、頭がどうにかなってしまいそうだ。

颯斗の指先は力強くて、優しくて。
まるで初めての行為みたいに、体中がぞくぞくした。

ベルトを緩められて、そのままズボンを膝下までずり下げられる。
いつもの仕事なら、こんなのひとつの作業にすぎないのに。
颯斗がするだけで、胸をぎゅうっとつかまれるような感覚に陥ってしまう。

もう過去の思い出だと、頭の中では整理をつけていたはずなのに。
心が、体が、颯斗を欲しがってしまっている。

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