淫舌な成功報酬 (Page 3)

「ちょっと待ってろ」

井出はベルトを締め直すと、デスクの引き出しから鎮痛剤を出した。

「少しはマシになるだろ」

そう言って、水と一緒に青年に差し出す。

「弁護士バッジに誓って、そいつは変なクスリじゃねぇから」

と冗談っぽく笑ってみせると、青年は安心したように鎮痛剤を口に入れた。

「飲めそうか?」

青年がまた自信なさげにコクリとうなずいた。

しかしすぐに口の端から水がこぼれ、申し訳なさそうに苦笑いした。

「遠慮すんな。ほら、上向いてろ」

コップの水を口に含むと、井出は青年の頬に手を添えた。

半開きの唇に優しくそっと口づける。

ピクッと青年の体が震えた。

「ンっ…ふ…っ」

ちゅぷ…ちゅぷ…と少しずつ口内に水を注いでいく。

青年は目を閉じると、井出のシャツをきゅっと摘んだ。

「ん…ンンっ…」

井出の口内に水がなくなった頃、ようやく青年が鎮痛剤を飲み込んだ。

「…ぷはぁっ…ぁっ」

「よし、いい子だ」

唇を指で拭ってやると、井出はもう一度青年の頭を撫でた。

「おじさん、やさしい」

青年が井出を見上げて言った。

「お前なぁ、そういうときは”お兄さん”って言うんだぞ。それにこう見えても俺はまだ40前だ」

井出はニカっと笑うと事務所の奥へ消えた。

すぐに毛布を片手に戻ってくると、それを青年の膝に置いた。

「疲れただろ。少し寝ろ」

「ありがとう、おにいさん」

青年は嬉しそうに毛布を広げた。

二人掛けのソファに華奢な体を沈ませる。

肘掛けに乗せた生白い足首がやけに色っぽく、井出は思わず見惚れてしまった。

「ありがとう」

青年はもう一度礼を言って、井出を見つめた。

「そうだ…お前、名前は?」

「ニコ…」

鎮痛剤のせいか、目がとろんとしている。

井出は向かい側のソファに腰掛けると、その眠気を邪魔しないようにそっとささやいた。

「おやすみ、ニコ」

その名前が本名か源氏名かわからない。

聞かれたらそう答えろ、と誰かに付けられた名前かもしれない。

「ニコライ…いや、ニコラス…?」

そうつぶやきながら、井出はしばらく美しい寝顔を眺めていた。

*****

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