初対面のアルファと発情期の末に結んだ疑似的な番の契約 (Page 5)
「あっ、あっ、はっ…あぁ」
陰茎やカリ首が、最奥や敏感な部分を不規則に触っては擦る。
その度に猛さんの動くリズムに合わせて、甘ったるい喘ぎが唇から垂れ流される。
「葵くんと同じで、オレもっ、ずっとこうしてたいけど…もう、限界っ」
「あっ!」
最後に奥まで埋め込んで最奥を撫でるように突き上げ、数秒静止すると直ぐに挿入物を抜き出した。
そして、僕の腹部へ半透明の温かい液体をビュッと吐き出した。
「はあっ…はあっ…」
湿る乱れた呼気が僕の耳孔をくすぐる。
両腕を大きな背中に回し、逞しい体を抱き寄せて肌を密着させる。
乱れが正される鼓動の軽い衝撃。
精液の匂い。
汗でしっとり濡れる肌の感触。
あらゆる感覚器官で余韻に浸っていた時だ。
脚の付け根へ、硬く熱い物体が押し付けられた。
それの正体を理解したと同時に、体の重みがなくなった。
目線を上へ上げれば、妖しい笑みを浮かべた猛さんが僕を見下ろす。
「まだまだ、付き合ってくれるよね?」
何度目の交わりか、何度目の吐精かもう知れた数じゃない。
しかし、猛さんと有り余る自分の性欲に嫌悪感や後ろめたさはなかった。
「僕もまだ…足りないです」
*****
それから何度、いや。
何日にも及ぶ行為の末、僕の発情期は終わりを迎えた。
こんなにスッキリしたのは初めてで、清々しかった。
「…ありがとう、ございました」
「これからよろしく。体がうずいたら呼んで。オレも呼ぶから」
「失礼します」
玄関先で別れの挨拶をし、僕はこの場を後にして帰路に着いた。
電車に乗ってから惰性で電話を見ると、猛さんからメッセージが1文入っていた。
“気を付けて”
欲望は出し尽くした。
それでも彼の顔を思い出すだけで、下半身がまたじわりと熱くなる。
「はあっ…」
肉体に残る猛さんの痕跡を消すように、返信せずに電話をポケットへしまった。
最寄り駅に到着し、歩くこと10分程度。
「あれ?」
穴に鍵を差し込むと開いているようで、抜いてからドアノブを握って下ろした。
「おかえり」
中に入ると、発情期の間は連絡を断っていた幸成くんが帰りを迎えてくれた。
「…来てたんですね」
「近くで用事があったから、寄っただけだ。飯、まだだろう?」
「あっ…はい」
「用意してある。さっさと入って食べろ」
我が家のような口ぶりで言うと、彼は一足早く奥へ消えた。
言動は冷たいけど、幸成くんは優しくて誠実だ。
そんな彼が好きで、離れたくなくてベータに化けて側に居る。
ベータの生活を壊さないよう、猛さんとオメガの欲を満たすセックスフレンドの関係を結んだ。
「おい、早く来い」
「わ、わかりました」
奥から聞こえる少し不機嫌な声に急かされ、足速にリビングへ向かった。
セックスフレンドは割り切った関係で、極端に言えば惰性の一部。
なのに…
「お待たせしました」
猛さんの存在が、心身でチラついて仕方なくなっていた。
食卓につき、いただきますをして食事に手を付ける。
これから先、幸成くんの隣でベータとして今まで通りの生活が送れるだろうか?
そんな不安を少しでもかき消すように、僕は食べ物を次々と喉の奥へ飲み込んだ。
Fin.
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