彼の泣きぼくろ (Page 3)
「っ、ん、…ふあ…んぁ、あ…」
吾妻は見せつけるようにして、ちょうど中に入っているものをゆるゆると出し入れする。
彼は顔を真っ赤にして、けれど確かめるように出し入れする吾妻のものに指を這わせた。
そんな彼が可愛く思えて我慢できなくなった吾妻。彼に覆い被さるようにして、腰のスピードも速めていく。
「ん、い、いっく…んんんっー」
「…あーやっべ、…俺も、もう…っ」
そうして、彼の唇にキスを落として、2人は同時に果てた。
*****
そんな社員旅行からすでに2ヵ月が過ぎ、あれから何度も彼とは体を重ねている。
仕事では相変わらずの鬼である彼だが、日に日に色気を増してる気がして、吾妻は落ち着かない。
しかし、彼が頑(かたく)なにセフレでいたいと言うので、従ってはいるのだが。
正直、吾妻はその曖昧な関係が面白くはなかった。
「俺、外回り行ってきます」
今日も堪えきれずにオフィスを出る吾妻。彼の熱っぽい視線が吾妻を見送って、それだけで吾妻はずくんと下腹部が熱を持った。
「きゃー!ゆうくん!!」
そんな街中でのことである。道路に小さな子供が飛び出して。
咄嗟(とっさ)に体が反応した。
覚えているのは、誰かが叫ぶ声と、身体中引き裂かれるような痛みで。
吾妻の胸で小さな子どもが、ただただ怖がるようにして泣いていた。
*****
目を覚ますとそこは病院で。
身体中がギシギシと痛む。吾妻はたまたま顔を見せた看護師によって医者を呼ばれ、今日までの経緯を説明された。
そうして、怪我の程度はほとんど問題ないのだが。
なんでも、子供を助けて事故ったらしく。そこはまぁ、曖昧で。
…それよりも、どうもおかしい。
医者が言うには、社会人である吾妻。
何がどうなって居るのか。
つい最近までは、部活に追われた高校生活を過ごしていて。部内で性癖がバレて…それで…。
死にたいと思っていたのは覚えている。けれど、本当に死ぬ勇気なんてなくて…。
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