彼の泣きぼくろ (Page 5)
その日の夜、面会時間ギリギリに部屋に入ってきたのは、昼間のあの男で。
どこか酒臭い彼は、吾妻を前にするとぽろぽろと泣き始めた。
「早く、…っ、早く思い出して、俺を恋人にしてくれ。じゃないと、もう。こんなの耐えられない」
そう言って、吾妻の体に手を伸ばした男は、吾妻の下着ごと下げ、それを咥える。
「えっ?あ、お兄さん!?」
「っ、吾妻…。好きだ。お前がいなくなるなんて、耐えられない」
戸惑う吾妻だが、いいところがわかっている的確な刺激で、すっかりと昂った自分のもの。すると、男はその上に腰を落とし…。
「っ…あ、んふ…ぐすっ…ぅ、こんなの…」
柔らかくうねる彼の中。けれど彼は泣きじゃくったまま、動かなくなって。
そんな彼を見つめていた吾妻。ふと彼の目元にほくろがあるのに気づいた。
なんか色っぽい…なんて手を伸ばして、慰めるように彼にキスをする。
すると突然、頭が割れるように痛んで…。
「う…」
「え、吾妻!おい!大丈夫か!?今医者を」
そう言って慌てたように離れる冴木。けれど、吾妻はそんな彼の手を取った。
「…ははっ、なんだこの出迎え。えろいね、冴木さん」
そう告げて堪えきれずに腰を動かせば、いつかのように馬鹿だと殴られる。
そうして彼からキスをされた吾妻。
心配させるなと彼が吾妻を抱き寄せて、そうしてもう一度、その柔らかな唇が降りてきた。
Fin.
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