ポップコーンの魔法 (Page 2)
「中(あたる)の部屋、整理されてるなー。ホテルみたいだ」
理がドラッグストアのレジ袋をテーブルに置いた。かすかな音が静かな部屋に響く。
上着を脱いでテレビをつけようとすると、理に手首を掴まれた。
「ほっそい手首だなあ。俺の指が余ってる」
「理の手が大きすぎ」
「小学生のとき、グローブってあだ名をつけられたっけなあ」
「…嘘つけ」
俺の手首を掴む理の手が震えているのが目に入る。
俺は理を見上げた。
俺より頭半分、背の高い理を少しのあいだ見つめる。ちょっと泣きそうな理の瞳に、俺は腹を決めた。
ツンツンの髪を引っ張ると、理が前のめりになる。
俺はキスをした。
*****
そっと唇を離すと、額やまぶた、頬に唇に、理のキスが降ってきた。性急だけれど、俺の顔を確かめるみたいな丁寧さに胸が苦しくなる。
小さく息を吐くと、肩を押されて床に押し倒された。中、と名前を呼ばれ唇を塞がれた。
次第に深くなる口づけに、頭がぼおっとしてくる。
「中って日焼けしないよな。夏でも冬でも肌が白くてきれい」
「…え?」
胸の辺りがすうすうする。気が付くと、シャツや下着を脱がされていた。
いつの間に…と思う間もなく、脇腹や胸を撫でられる。
理の唇が顎から首に、鎖骨に下りる。鎖骨のくぼみを何度か吸われ、ちくりとした小さな痛みが走った。
「…はっ、い、た…」
「痛い? 気持ちよくない?」
理が、がばっと頭を起こす。眉が下がり、瞳が不安そうに揺れていた。
「あ…、ばか。気持ちいいって…聞くな…」
恥ずかしくて語尾が小さくなってしまった。…痛いと言ってしまったけれど、それだけじゃなかった。
キスをされて、体がじわじわと熱くなるのが、体の奥がうずいているのが自覚できた。…初めてのことに体が反応している。
どアップの理の顔が、目の前に現れる。じーっと見つめられたかと思うと、ふにゃりと笑った。
「中の目、潤んでる。たぶん…、嫌じゃないよな?」
「…っ、そんなこと、丁寧に聞くなって言ってる…」
「言って? 大好きな中が気持ちいいなら、俺、したい」
直接的な物言いに、顔がさらに熱くなる。
「う…。理だから…許す…」
俺は理の手を取り、自分の下半身に当てた。俺の体の変化を感じ取ったのか、理は口元で優しく笑った。
「痛くしないからな」
俺は頷き、理の首に手を回した。
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