還らぬキミよ
レイは僕、カズの大切な友達だった。そして、付き合っている関係でもあった。けれど、一つだけ問題があった。レイは人じゃなくて、アンドロイドだった。僕たちの恋は許されず、レイは壊された。僕は知識をつけて、彼をもう一度作り上げたけれど――。
僕とレイが出会ったのは、僕が親の言いつけを聞かずにアンドロイドたちの居住区域に入ったことがきっかけだった。
この世界ではヒトとアンドロイドは区別されている。だから、普通は出会うことがなかった。
けれど、僕はアンドロイドについて知りたくてたまらなかった。
「君、は…?」
「…あっ、もしかしてアンドロイド?」
こくりとうなずく彼は、美しい造形という言葉が似合う、同い年くらいのロボットだった。
「えーと、えーと…そうだ!俺と友達になってくれよ!俺さ、アンドロイドのこと知りたい!だからお前のことを教えてほしいんだ!」
「…いい、けど。変わってるね、キミ」
「よく言われる!俺はカズ、よろしく!」
「…レイ」
こうして俺とレイは友達になった。
*****
俺はそれからというもの、レイの話が聞きたくてたまらなくて、しょっちゅうレイのところに遊びに行った。
「レイー!」
「あ、今日も来てくれたんだ」
いつもレイは俺が来てくれると嬉しそうにしてくれる。
それが嬉しかった。
徐々に僕は、彼という僕とは違う存在に惹かれていった。
心優しくて、穏やかな、レイ。
だから、告白した。
「好きだ」
レイは驚いていたけど、にこりと微笑んで、うなずいてくれた。
*****
けれど、それを世の中は許してくれなかった。
「管理番号Z140、通称レイ。人間をたぶらかしたお前を破壊する」
「やだ!やめてよ!レイ…っ!!」
彼はありがとうと一言告げて、スクラップになった。
それが彼の最期だった。
その後、俺は、無認可の研究施設に入り、研究と勉強の日々をつづけた。
全てはレイに帰ってきてもらうため。
そして、俺はもう一度レイを作り上げた。
「待っててね、これで、また会える」
けれど、再起動したレイは、昔みたいに優しい彼じゃなくて、まるでもぬけの殻の人形みたいだった。
「管理番号Z0140、開発者様、私は何をすればいいですか」
彼の問いかけに俺は何も答えず、俺は彼を押し倒した。
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