死がふたりをわかつまで?!
「死神ともあろうことに、なんとお前に惚れてしまった。ありがたく抱かれろ」黒羽明星(くろはねあきほ)は、ある日突然姿を現した死神に言い寄られた!「拒否権はない」と、強引に抱かれてしまうが、冴えない童貞のアキホは死神のもたらす快楽にあっという間に飲み込まれてしまう…!!
黒羽明星(くろはねあきほ)は死にたいわけではない。ただ死という概念に囚われてしまった。
死は唯一誰にでも平等に訪れる。
残酷だけど優しい。
冴えない、モテない、取り柄のない俺にでさえ、きっと平等だろう。
これはもはや恋とでも呼べるのではないかというほど、気になってしょうがない。
そんなことが気になりはじめてから3ヶ月。
どうやら、死神?らしきものが見えるようになってしまった。
人の寿命はよくろうそくに例えられるが、まさにそのような感じで、人間一人一人に死神はついているようだった。
子供から大人までさまざまな様相だ。
赤ちゃんに同じ歳くらいの死神が後ろにピッタリとくっついていて、微笑みあっていたり、一緒に遊んでいる姿もあった。
あるいは老人に、セクシーな金髪美人の死神がついていることもあれば、まだ若いスーツの男性にヨボヨボのおじいさんがついていることもあった。性別も国籍もさまざまのように見える。
もともと友達もいないし、一人暮らしで引きこもっていたので、人付き合いで特別困ることもなかった。
なぜか自分の死神を見ることはできないようだったが、そういうものなんだろうという考えに至った。
またしばらくすると、どうやら彼らに自分が見えることを気づかれたようで、目があったり、驚かれたり、あいさつまでされることもあった。
*****
そんなある日のコンビニ帰りに、よく見かける女性の死神にいきなり声をかけられた。
「あんた…やっかいなことになるよ」
「あ、えっ、えぇっ!?ちょっとっ…」
それだけ言い残すと、あっという間に姿を消してしまったので、聞き返す余裕もなかった。
なんのことやらよくわからないが、ひとまず家に帰ってこの新発売のカップ麺を食べようと、呑気にそんなことを考えながら家のドアを開くと、1人の男がリビングのソファでくつろいでいた。
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