仮面の下に秘められた欲望
本郷拓哉は、仮面パーティーに参加している。このパーティーは富豪の男性たちが一夜の相手を探すセックスパーティー。声をかけてくる男たちが、拓哉の許容外の男ばかりでがっかりしていた。今日ははずれだと諦めかけていたところ、声をかけてきたのは容姿端麗な若い男で…。
「皆様、本日は魅惑の仮面パーティーに参加いただきありがとうございます。御食事も用意させていただきましたので、今宵の相手をごゆっくりお選びください」
パーティーの主催者が参加者たちにそう、説明している。
私、本郷拓哉は、いわゆる一夜の相手を探す…つまりセックスパーティーに参加している。参加者の条件は既婚者で本日の条件は男性のみ。つまり普段は妻である女性を抱いている男たちが今夜だけは男と交わる。
「私と一緒にいかがです?」
こんなパーティーに参加するのは富豪ばかり。必ずしも容姿がいいとは限らず、小太りのおっさんに話しかけられてしまった。
「すみません、遠慮させていただきます」
私もその富豪の一人だが、容姿には自信がある。だから私に声をかけてくる男は多いが、こんな男ばかりだ。仮面をつけていても見目が悪いことはすぐにわかる。普段とは趣向を変えて男はどうだろうと思ったが、今日ははずれだったか。
「今日ははずれだなって顔ですね。では俺とはいかかです? シャンパンをどうぞ」
声をかけられた方へ振り向くと、私と同じか少し年下の男に声を掛けられた。髪は茶髪で派手に見えるが隠されていない部分の容姿は申し分ない。どこかの御曹司だろうか。
「ありがとう。では遠慮なく」
見た目だけでなく、身に着けているものも一流だ。その腕時計で家一軒建つのでは。今夜のセックスの相手だけで終わるのはもったいないかもしれないほど。
「こういう場所に慣れているのか?」
「いえ、初めてですよ」
慣れていないと言うのに反して、その男は堂々としている。それにさっきから視線を感じる。会場にいる男たちがこの男を狙っているようだ。
「そんなことより、奥の部屋へいきませんか? 他の方の視線もありますし」
自分が狙われていることに気づいているようで、急かしてくる。この男だけでなく、私への視線もあるようで確かに落ち着かない。
「では行こうか」
*****
私は彼を連れて個室へ向かった。個室へ入るなり彼は仮面を取り、その高級なネクタイを緩める。
「キスしても?」
ベッドに押し倒されながら尋ねられる。私も仮面を取り、素顔を晒した。断る理由もない。むしろ望むところだ。唇を重ねると舌を入れてきた。私の口内を犯していく。歯列をなぞったり、舌を絡めたりして存分に味わっているようだったが、私が彼の胸を押して抵抗するとあっさり離れた。
「まだシャワーを浴びていない」
最近のコメント