エレファントの輝き

「ふふふ、こっちにおいでよ」

手招きする指はいつも白く細く太陽に透けそうで、ずるい。
君はこの学園のみんなを虜にしてどうする気だい、エマニュエル――――

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エマニュエル・モロー

彼の容姿は彫刻で彫られたかのように美しく端正な顔立ちをしていた。
さくら色の唇から漏れる声は、小鳥のさえずりのように美しかった。

成人している学生だが、少年のような肢体を携えて、
美しいブロンドの髪が風になびいてキラキラと光った。

「よぉ転校生、もう学園には慣れたか？」

僕の名前はオーギュスタン。急きょこの寮がある大学へ入学した。
理由は簡単。
絵を学びたくなったからだ。

「久しぶり。なぁ、あの目立つ人は？」

「あぁ、エマニュエル・モローか。やめとけやめとけ、容姿も中身も有名女優並だ」

やめておけとヒラヒラと手を振る友人の脇からエマニュエルモローを見る。

―――笑い顔ですら、繊細だ。

「決めた！エマニュエルにする！」

「は？！なにを決めたんだよ！どこいくんだ！」

「エマニュエルのとこ！次の課題は彼を描く！」

僕は友人に背を向け走る――――

「ねぇ、エマニュエル！君を描かせてくれない？」

僕は校舎内へ入ろうとするエマニュエルの腕を掴んだ。
「僕を描く？」

エマニュエルの大きな瞳はさらに大きく見開かれ、まじまじと驚いた様子で僕を見た。

「君を一目見て美しいと思ったんだ！世界で一番君を美しく描くよ！」

エマニュエルは大きな声で腹を抱えて笑った。

「君って面白いね、そんなにストレートで情熱的に口説かれたのは初めてだよ。いいよ？いつだい？」
彼の細く白い指が目じりをなぞり涙をぬぐう。

（なんてこった！まるで天使だ！）

「明日！明日の全授業終了後はどう？」

「いいよ、君の部屋に行くね」

エマニュエルは僕に背を向けひらひらと手を振る。
立ち振る舞いが美しい。気品がある。
貴族の出なのだろうか？しなやかな動きから目が離せない。

僕は絵で生計をたてていた。
人物画が得意だ。他人の家に行ってはその人物を描き、喜ばせるのは得意だった。
貯めたお金で大学へ入った。独学の僕の絵と、勉強の絵ではどこが違うのかが知りたかったのだ。

――――エマニュエルを描ける！

僕の心は踊った。空も喜んで踊っているように青々としているではないか。

あんなに美しい人は数人といないぞ！