Hから始まる似た者同士の恋

・作

アキは幼馴染みのカケルと同居中。しかし数日前、酔ったカケルに襲われて一線を超えてしまった。カケルとの接し方に悩むアキ。しかしカケルに女性と外泊疑惑が浮上して、心が大きくかき乱される…。切ない胸キュンBL!

繁華街の雑踏に混じって、確かに女の声が聞こえた。

「今日は帰らない」

カケルはそう言って電話を切った。

「…なんだよ、それ」

俺はすでに切れている電話をソファに投げつける。

カケルの気に入っている青いクッションが、小さな音を立てて揺れた。

「逃げんなよ…カケル…」

幼馴染みのカケルと同居を初めて半年。

終電を逃して会社の近くに泊まるなんてことは、過去にもあった。

しかし、今回は事情が違う。

俺たちの今後について話そうと約束をしていたのだ。

「俺だけ悩んで…バカみてぇじゃん」

俺は冷蔵庫から持てるだけの缶ビールを抱えるとテーブルに置いた。

冷えたプルタブに爪をかける。

プシュッと抜け出す炭酸の音が、飽和する自分の気持ちと重なった。

「…あんなことしなきゃよかった」

深夜1時を回ったリビングで、俺は膝を抱えた。

*****

事の発端は、3日前の夜だった。

深夜に帰宅すると、カケルが珍しく酔っていた。

「カケル、布団で寝なよ。風邪ひくから…」

リビングのソファで潰れかかっているカケルに手を伸ばす。

カケルは赤くなった顔を上げると、虚ろな瞳で俺を見た。

「アキ…お前いつもイイ匂いするよな…」

「はいはい、そりゃどうも」

俺はあしらうように答えた。

きっと仕事で嫌なことでもあったのだろう。

とりあえず布団まで引っ張ってやろうと体をかがめると、カケルが俺の肩を掴んだ。

「もうちょっと嗅がせろよ…」

そうつぶやくと、俺をソファに押し倒した。

「お、おいっ…カケル…!」

酒で火照ったカケルの体温が俺に覆い被さる。

カケルは首筋に顔を埋めると、荒々しく息を吸った。

「お前の匂い、すげぇそそる…」

甘く低い声が耳をなぞり、思わずビクッと背中が跳ねる。

そんな反応を待っていたかのように、カケルが俺のベルトに手をかけた。

「まって…おまえっ…なにして…っんんッ」

カケルが貪るように俺の唇を塞いだ。

柔らかい感触と酒の味が口の中に広がる。

舌で上顎をなぞられて、俺をすぐに呼吸を乱した。

「ぁあっ…はぁっ…やめろって…カケル…っ」

唇を塞いだまま、カケルが俺の服をめくる。

まるで果物の皮でも剥くかのように、手早く俺の胸部から陰部まで露わにした。

「アキの肌しっろ…女の子みてぇ…」

カケルの指がいやらしく胸を這う。

剥き出しの乳輪を撫でると、隆起した乳首を指で摘んだ。

「はぁあンっっ」

「感じ方も女の子じゃん」

カケルは口角を上げながら、俺の乳首にしゃぶりついた。

「んああッッ」

熱い舌がチロチロと赤らんだ先端を上下する。

腰をよじらせ逃げようとする俺に、カケルはさらに体重をかけた。

「やめっ…どけろよ!カケルっ…ぁああ…っ!」

カケルが俺のペニスに触れた。

厚みのある大きな手が、まだ下を向いたままの亀頭を包む。

鈴口に親指を押し込まれると、じわっと噴き出すように先が湿った。

「あ、アキ…我慢汁出てきた」

「おまえっ…ほんと冗談きついぞ!」

にらみつける俺を、カケルは充血した獣のような目で見下ろした。

「なぁ、きもちいいことしようぜ?」

カケルはスウェットから自身を取り出すと、俺のペニスに押し当てた。

「ウソだろ…やめろって…ああっっっ」

硬直した陰茎が、俺の亀頭を押し潰す。

カケルはすでにイキり勃っていて、触れた裏筋がピクピクと脈打っていた。

「お前っ…なにやってんだよ!離れ…ろ…はぁっああッッ」

下から擦り上げるように、カケルが腰を動かした。

どちらのものかわからない先走り汁が、ヌチャヌチャと淫音を奏でる。

カリで竿を上下されるたびに、俺のペニスはみるみる硬くなっていった。

「はぁっあっ…カケルっもうやめっ…」

「きもちいいだろ?アキ、すげぇエッチな顔してる」

「見んなっ…」

俺は両腕で顔を覆った。

自分でも頬が熱く、瞳が潤んでいることがわかった。

「隠すなよ…俺、お前の顔好きなんだから」

カケルが引き剥がそうと腕を掴んだが、俺は感じている顔を見られまいと必死に抵抗を続けた。

腕の下では唇を噛み、漏れ出す嬌声を抑え込んでいた。

「アキ…俺に見られるの、そんなに嫌?」

「あ…当たり前だろ!お前酔ってるからって、どうかしてるぞ!」

「…もう酔ってねーよ」

カケルは俺の腰を掴むと、軽々と膝に乗せた。

そして、剥き出しになっている尻をわし掴み、荒々しく左右に開いた。

「やりすぎだってカケル!やめろっ!こんなの…ぁあッッッ」

カケルの指が、ヌプ…と入り口をこじ開けた。

「やめっ…抜けっ…抜けよ!カケル!」

カケルは無言のまま、指をさらに奥へと進めた。

「ああッあああッ」

カケルの指に合わせて、ナカからクチュクチュと水音がする。

かぶと合わせで出た我慢汁が、淫らにアナルまで伝っていた。

「だめ…ケツおかしくなるっ…ああっんああッッ」

俺が出した淫汁を潤滑剤に、カケルの指がナカを引っかく。

肉壁が解されていくたびに、腰がビクビクを震えた。

「んはぁっ…もう…っ…やめ…」

視界が滲み、見上げたカケルの顔がかすむ。

カケルの興奮した吐息が、俺の前髪を撫でた。

「…お前が俺をこんなふうにしたんだ」

弱々しくつぶやくカケルの声が耳に入った。

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