鏡写しの真偽 (Page 2)
口を塞いだ方とは反対のアルベルトの手が、俺の反り上がった性器の先端に触れ、そこから垂れる透明の液体を指ですくった。
そのわずかな刺激すらも針のようにぴりぴりとした快感になった。
ねっとりした液体をまとったアルベルトの指が顎の下にぴちゃりと触れた。首をすべり、喉仏の丸みをなぞり、鎖骨の真ん中を通り胸の中心へ滑り降りる彼の指。
ゾワリとした感覚が背筋を龍のように昇っていった。
痺れるくらいの快感が襲い、呼吸が浅くなる。彼の指の降下は、微かな接触でも、大きな快感だった。
彼の右手で塞がれる俺の口の中は、唾液と流し込まれた液体が合わさって限界なまでにいっぱいになっていた。でも飲み込みたくない。彼に負けるのは嫌だった。
眉間に力が入る。きっと、いや絶対、下半身も力んでいるんだろう。眼下の彼は薄ら笑いを浮かべていた。
「ふふん。さすがだな」
アルベルトは上半身を起き上がらせ、塞いでいた右手をとると同時に、口を合わせてきた。
唇をわって侵入する舌。口の端から液体が垂れ、首筋をつたう。
ごくり、と上下する2人の喉。
アルベルトが俺の頭を抱えるように腕をまわしてきた。髪を撫でられ、舐め尽くさんばかりに舌を隅々まで這わせてきた。
必然的に密着する体。腹と腹に挟まれる性器。そしてジンジンと痺れるようにうずく腰。
力む眉根を上げて薄目を開けると、俺たちの姿を映す四方八方に浮遊する大量の鏡がこちらを向いていた。
俺は思わず下半身をビクンと揺らしてしまった。
恥ずかしい。でも、気持ちいい。
俺はすっかり熱に浮かされてしまった。
腹の中に入っている彼の固い先端を、イイトコロに当たるように俺は自分で腰を揺すった。
欲望はさらに掻き立てられ、全身がもっともっとと快楽をねだった。まるで自分の体じゃないみたいだった。
「ふ」
アルベルトが吐息とは違う、小さな笑いをもらし、まるで噛みつき貪るようなキスをしてきた。俺はもう、まつげが触れ合うことすらも気持ちよかった。
ぷは、と息を吐いて舌が離れると、アルベルトの蒼い瞳に俺の逆上せた(のぼせた)顔が映った。まるで彼の瞳も鏡のようだ。
ああ、浅ましい姿の俺が、たくさん映っている……。
「すっかり大人しくなったな。さあ、次はどうしてほしい?」
地をはうような声が、とろけた下肢を伝って地鳴りのように響き、背筋を震わせた。
Fin.
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