花火は君と一緒に (Page 3)
井沢自身の高ぶりを内ももに感じて、俺は井沢の首に手を回した。
もう一度くちづけられると、前を握っていた手がゆっくりと後ろに滑る。ぬれた指が井沢自身のための場所を探り当てるとほぐすようにもみ込み、そろりと中に入ってきた。
久しぶりの感触に、腹や足が突っ張る。
「無理かな…」
「無理…、じゃない。全然…、…このまま、して…」
頭を振って井沢にしがみつく。
井沢はゆっくりとうなずくと俺の脚を開かせ、その間に顔を埋めた。井沢の指でほぐされた場所にやわらかく湿ったもの…、舌を感じた。
ゆるゆると周辺をほぐす、その湿った音が花火の音に混ざる。
車での行為は初めてだった。
「あぁ…、んっ、あ…、いや…」
いつもとは違う環境と誰かに見られたらという恥ずかしさのためなのか、井沢のちょっとした動きにも体が揺れてしまう。どうにもできない甘いうずきが体の奥に広がる。
「…っん、…あ」
長い指が内側をなでるように、押し広げるように動く。
再び熱を持ち出した俺自身の先に息を感じた。口に含まれ、柔らかく、ときには強い動きに内から外から攻められ、中の異物感が波のような快感に変わる。
「や…、あっ、い、…」
指の動きに合わせるように腰が揺れてしまう。肝心な部分には触れないで時間をかけてくれるのがもどかしくて、井沢の名前を呼ぶ。
「…うん」
指を抜かれ、熱を宿した硬いものがゆっくりと入ってくる。
井沢に満たされていくような感覚、体の重みや汗ばむ肌…。
井沢の大きな背中に手をかけると、ついばむようにキスをされた。手のひらに伝わる体温や鼓動に、井沢をもっと感じたいと思った。
「圭…、俺が圭と別れて結婚すると思った? だから泣いてる?」
「…い、ざわ…が…、っ…、好きすぎて…、っ…」
涙で言葉が続けられない。止まらない涙にそっとくちづけられた。近すぎる井沢の瞳に花火のような光が広がる。
「俺は圭と別れるつもりはない。…でも、圭に余計なことを考えさせた。ごめん」
首を小さく横に振ると、圭、と呼ばれてきつく抱きしめられる。
井沢の声や息遣いを感じていたくて目を閉じる。うなずきながら井沢を抱きしめ返すと、中でまた動きだした。
高い場所に追い上げられるような感覚、目の端をときおりよぎる花火の雫。井沢の熱さに肌を覆われ、もう何も考えられなかった。
それでもひとつだけ、思っていた。
井沢が好き。このままでいたい。もっと感じていたい。
「好き…」
「うん」
「井沢…、好き」
「圭…」
かすれ気味の井沢の甘い声に何度も名前を呼ばれて、俺も名前を口にする。
「…あ、…あぁー…」
ぎりぎりまで追い詰められ、ぽーんと意識が散った。花火のかすかな音と、鮮やかな花火が目の裏で淡く広がる。
「…圭、愛してる」
井沢の力強い腕の中で、また花火を見よう、という言葉を聞いた気がした。
これから何度も花火を見るだろう。そのたびに井沢を感じながら過ごした今日の夜のことも思い出す。
それはきっと、幸せな思い出。
Fin.
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