雨に濡れる花 (Page 2)
口の中でトオルさんのペニスが硬くなると嬉しくなる。
オレで感じて気持ちよくなってる証拠なんだから当然のことだ。
「そんなに一生懸命されると、出ちゃうよ」
「んン…」
「シンヤくんの中でイきたいなぁ?」
その台詞はずるい。
別に口の中で射精されても構わないけど、腹の中で果ててくれた方が嬉しいし、文句はない。
きっとものほしそうな顔をしていると思いながら、トオルさんのペニスにコンドームをかぶせていく。
これからオレをいじめるものに、オレ自身がその準備をしてるのはちょっと変な感じだ。
「ね、トオルさん。横になって…今日はオレがするから」
細身に見えるけど綺麗な筋肉がついたトオルさんの胸を押して、布団に押し倒す。
和室に似合う和モダンな大きなローベッドはマットレスも上質で、覆い被さるように体重を掛けるとオレの身体まで弾んだ。
彼を見下ろすこの体勢は倒錯的でいいな。
荒くなりそうな吐息を噛み殺しながら、硬いままのトオルさんのペニスをさっきまで丁寧に準備していたアナルへ擦り付ける。
「見てて、ね、トオルさん」
「ちゃんと見てるよ、シンヤくん」
「う、ん…ッんン」
ゆっくり体重を掛けると、トオルさんのペニスがオレの中に入ってくる。
狭い内側が彼の形に広がっていくのをまざまざと感じて、頭の中が煮えそうだ。
「あ、入っちゃう、トオルさん、あ、アッ」
「もう少し、ね。ほら、」
「は、あ、ァ」
尻が密着するほど腰を落としきる。
トオルさんの腹に手を付いたまま身体を揺らすと、腹の奥を硬い勃起でこねられて息が止まるほど気持ちいい。
「シンヤくんは、アヤメかカキツバタか…可愛いのに美人さんで、困っちゃうな」
「オレ、か、わいい?トオルさん、オレのこと、好き?」
「大好きだよ」
うん、オレも。
あなたが好きです。
だから、だから。
「トオルさん、が、欲しいよ」
年の差があることも重々承知しているし、彼がオレよりずっと大人な分、オレをいつでも手放せるように心構えをしていることもわかってる。
でもさ、こんなに奥まで犯しておいて離れられるわけないよ。
「ぜんぶ」
「シンヤくん、」
「そしたら、オレのこと、もらってくれる…?」
ぐるりと目が回った、と思ったら息が止まった。
いや、正確にはオレの喉から悲鳴じみた喘ぎ声が漏れていた。
ほんの少し前までオレがトオルさんの上で腰を揺らしていたのに、気が付いたらトオルさんはオレの真上にいる。
「と、ぉる、さ…あ、あ、ア!」
「好きだよシンヤくん、君が、愛おしい…」
「は、ンッ…好き、オレも…トオルさん…ああァッ」
普段は穏やかなのに、息を弾ませてオレを抱くトオルさんが好きだ。
乱暴ではないけど優しさだけでもない強さで、硬いペニスが柔い腹の中を出入りする。
途中で片足を持ち上げられて挿入の角度がキツくなるけど、それすらも気持ちよくて馬鹿になりそう。
「ふ、ぅ、ッ」
「も、むりッ…イく、も、あ、あァ…ッ」
身体を倒してトオルさんがオレをぎゅうっと抱き締めてくれた。
苦しい、でも、気持ちいい。
必死に伸ばした両腕で彼の背を抱いて、もしかしたら爪を立ててしまったかもしれない。
でももう、目の前に火花が散るみたいなハレーションが限界を知らせていた。
「シンヤくん、イッて、私の腕の中で」
「んン…いっしょ、に、ィ」
「私もシンヤくんの中で、ね、」
「うん、ァ、は、ああア…!」
抑えのきかない身体が跳ねる。
押し上げられたような、突き落とされたような絶頂と開放感の数瞬後、心臓がどっと脈打つのを感じた。
全力疾走したみたいに呼吸が上がるし、頭が真っ白で何も考えられない。
なのに。
「ンぁ、だ、めェ」
「シンヤくん、お尻でイッたでしょう…まだひくひくしてるのに、こっち、ちゃんとイけなかったね、ごめんね」
中途半端に勃起したままのオレのペニスは、こんなにも気持ちよかったのに置いてきぼりにされていたようで、トオルさんのてのひらに握られてびくりと痙攣する。
「とお、る、さァん、も、苦しい、ん、ンッ、出したい、」
「とろとろ出てるよ。いやらしくて可愛い」
「あ、あア、ぁ、イッちゃ、…!」
勃起の根元から先端までぎゅって擦られた瞬間、あっと思う間もなく射精してしまった。
上手にできたと褒めるみたいに、トオルさんの口唇がオレの顔に触れる。
だからオレも目が回るような快楽のなか、彼の頬へキスを贈った。
「…困ったね」
「な、ァにが」
「ふふ、疲れちゃったね、舌が回ってない」
「ん」
「私が綺麗にしておくから、目を閉じて。そう、シンヤくんはいい子だね」
優しい声にそそのかされて目を閉じると、そのまますう…と意識が沈んでしまう。
口唇に触れたのはきっと、トオルさんのキスだったと思いながら。
年の差・・・
年上だから別れる準備をして、年下だから全力で追い掛ける覚悟をするふたり、幸せに終わって良かった~(^^;)
大丈夫、幸せになれるからって応援したくなっちゃう
ねね さん 2021年10月7日