還らぬキミよ (Page 2)
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「んっ…はあ…レイ、れ、いっ!」
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。
俺は彼の上に乗り、彼の硬質なものを俺の中に入れて、腰を上下させる。
「ご主人様、これは一体?」
彼の問いかけに答えられなかった。
俺は彼のものを自分の中に入れて、激しく腰を振る。
いわゆる騎乗位というやつだ。
俺は彼に口づけをする。
彼の身体は硬質だから、キスマークはつけられないけれど。
けれど、何度も何度も口づけをする。
昔レイと何度もキスをしたことを思い出す。
(あの時のキスと、感触は、変わんないな)
「っれ、れいっ、れっい、っ…れい…っ!!」
レイは俺が一人で感じているのをみて、怪訝(けげん)そうな表情を浮かべていた。
けれど、俺のキスは、腰を振る行為は、止まらなかった。
「れいっ、れいっ、俺…っ、お前がいいよ!お前じゃなきゃ嫌だ…っ!」
独りよがりな行為だった。
ぱん。ぱん。彼の肌が触れるたびに、昔交わった思い出を思い出して、俺は「っ…ああっ!」「れっ、れいっ、」「きも、っちいいっ」と声を上げた。
「ご主人様は嬉しいのですか」
彼は聞いてきた。
だから、俺は笑って答えた。
「ああ、…っ!気持ちいいよ!嬉しいよ!」
俺はそう言って、彼の頬に手を当てて、じっと彼の瞳を見る。
昔の彼と変わらぬ姿。
美しくて、色っぽくて、綺麗な顔。
「君はレイだ。そして俺はカズ。お願いがある。上下に腰を振ってくれないか?俺と一緒に、気持ちよく、なってくれ」
「レイ…、カズ。…わかり、ましたっ」
レイは激しく腰を上下させる。
「ああっ!きもちいい、よっ!レイ!君のが、好きだ!君が好きなんだ、っ!君のじゃなきゃ、いや、だっ…!頼む、俺をイカせて…よっ…!レイ!レイ!レイっ!」
レイは俺がそんな様子なのを見ながら、必死に腰を上下する。
慣れない手つきだった。それもそうか。彼は彼であって、彼でないんだから。
「っ、イく、っ!気持ち、いい、よぉぉっ!」
俺は虚しく一人声を上げる。
俺のものから白い液体が飛び出して、部屋に飛び散った。
「…レイ、ごめんな」
俺はぽつりとそう呟いた。
ああ、彼は還らぬ人なんだな。
彼はレイであって、レイでない。
けれど、せめて。
どうか、君で夢を見させておくれ。
Fin.
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